英国当局は9月初め、今年3月初めに同国南部ソールズベリーで発生した、ロシア元スパイ親子の毒殺未遂事件に関し、ロシア人2人の容疑者を公表した。2人ともロシア軍参謀本部情報局(GRU)所属の職員とし、犯行後すぐさまロシアに帰国してしまったこと、また、ロシアは自国民の引き渡しに応じていないので、逮捕して英国で裁判にかけることはできない。ただ、英国としては、ロシア側を牽制するため、敢えて公表に踏み切ったとする。一方、容疑者とされたうちの1人は、出身地のロシア南部の小村においては、ロシア政府からメダルを授与され“ロシアの英雄”として崇められている。
10月10日付
『AP通信』:「英国で発生した毒殺未遂事件のロシア人容疑者、故郷の小村では英雄扱い」
英国当局は9月初め、今年3月初めに同国南部のソールズベリーで発生した、ロシア元スパイのセルゲイ・スクリパリとその娘に対する毒殺未遂事件に関し、ロシア人2人を容疑者として公表した。
当局によると、その2人はいずれもロシア人で、アレクサンデル・ペテロフとルスラン・ボシロフとの名前を名乗っていたとしている。...
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10月10日付
『AP通信』:「英国で発生した毒殺未遂事件のロシア人容疑者、故郷の小村では英雄扱い」
英国当局は9月初め、今年3月初めに同国南部のソールズベリーで発生した、ロシア元スパイのセルゲイ・スクリパリとその娘に対する毒殺未遂事件に関し、ロシア人2人を容疑者として公表した。
当局によると、その2人はいずれもロシア人で、アレクサンデル・ペテロフとルスラン・ボシロフとの名前を名乗っていたとしている。
容疑者2人は、3月初めに入国して、すぐさまソールズベリーに移動し、スクリパリ親子の家の玄関ドアに旧ソ連製神経剤ノビチョフを吹き付けたとされている。
そして今週になって当局は、パスポート情報、自動車登録証、通話記録等から、前者はGRU職員のアレクサンデル・ミシューキン医師、後者は同じくGRUのアナトリー・チェピガ大佐だと発表した。
驚くべきことにミシューキン容疑者(39歳)は2014年に、ロシア政府から“ロシア連邦英雄賞(注後記)”を受賞していた。
同容疑者は、ロシア北西端のアルハンゲリスク州内の小村ロイガ出身で、同村の住民は彼を崇めており、学校等に写真も飾られている。
『AP通信』記者が10月10日に現地を訪れた際、ロイガ村の住民は、湿地帯かつ深い森に囲まれた同村は寂れていて、若者は皆村を出て行ってしまい、残されたのは年寄りばかりだという。
ただ、ミシューキンは、軍医としての活躍が認められ、国から英雄賞を授かった、同村の出世頭であるが、祖母が住んでいることもあって、この寒村にしばしば訪ねてきている。
住民によれば、ミシューキンは心優しい青年で、先日も村に戻ってきていたとし、英国当局が発表した写真をみて、ミシューキンだと判ったという。
一方、ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は、ウラジーミル・プーチン大統領がミシューキンに英雄賞を与えたのかについて確認することを拒否した。
更に、同報道官は、英国側発表については、事実や十分な証拠調べに基づいておらず、全く受け入れられないとも表明した。
(注)ロシア連邦英雄賞:国家の職務の一方で、著しい勇敢さを伴う目立った活動や行為をする者に対して授けられる賞。創設以来、約750回の授与が行われ、主に宇宙飛行士か、チェチェン地区の軍事活動に関係した者が受賞。また、数人の芸術家、政治家、エコノミスト、および運動選手も、この称号を授与されている。
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