中国と激しく貿易戦争を繰り広げつつあるドナルド・トランプ大統領は、安倍首相に対しても、これまでの友好関係など全くお構いなしに、日米貿易不均衡問題解決のためとして、二国間貿易協定締結を強要してきている。そこで止む無く同首相は、物品貿易協定(TAG)の交渉に入ることを約してしまった。更に、米国側はこの勢いで日本側に対して、環太平洋連携協定(TPP)や日欧経済連携協定(EPA)で日本が認めたと同等以上の市場開放を求めるとしている。そして、米商務長官が追い打ちをかけるように、自動車に関わる貿易不均衡を是正するため、日本の自動車メーカーに新規を含めた自動車製造工場の米国内増産を要望する旨言及した。
10月6日付
『ロイター通信』:「ロス商務長官、日本車の米国内産増強を要望」
ウィルバー・ロス商務長官は10月5日、400億ドル(約4兆5,600億円)余りの対日貿易赤字是正の一環で、新規投資も含めて日本の自動車メーカーが米国内産を増強することが“最良の解決策”だと発言した。
しかし、同長官は、短期的手段として、日本側に米国向け日本車の輸出枠の自主規制を求めるかについてはコメントを避けた。...
全部読む
10月6日付
『ロイター通信』:「ロス商務長官、日本車の米国内産増強を要望」
ウィルバー・ロス商務長官は10月5日、400億ドル(約4兆5,600億円)余りの対日貿易赤字是正の一環で、新規投資も含めて日本の自動車メーカーが米国内産を増強することが“最良の解決策”だと発言した。
しかし、同長官は、短期的手段として、日本側に米国向け日本車の輸出枠の自主規制を求めるかについてはコメントを避けた。
一方、同長官は、米国がカナダ・メキシコと交渉した北米自由貿易協定(FTA)見直し条項に伴い、何社かの外国自動車メーカーが米国内産増強のための新規、あるいは追加投資をすることになると言及した。
更に、カナダ・メキシコとの改定条項に則して、多くの自動車メーカーの取引に関わり、1962年通商拡大法232条(注後記)に基づき、当該自動車の輸入が米国の安全保障に与える影響について“調査中”であるとも付言した。
ゼネラル・モーター、フォルクスワーゲン、トヨタ他大手自動車メーカーは、ドナルド・トランプ大統領が言及しているような関税賦課政策が導入されると、米国内の雇用にも、また車の販売価格にも悪い影響を与えることになると懸念している。
ただ、それらの自動車メーカーは、さすがに11月の中間選挙前にかかる政策を実施することはないだろうと、希望的観測をしている。
(注)1962年通商拡大法232条:各省庁・機関の代表者や利害関係者から要請があった場合、対象外国製品の輸入が米国の安全保障の脅威となっていないか調査することを商務省に命じる条項。対象製品(今回の場合自動車)の輸入が米国の安全保障に脅威と商務省が判断すれば、大統領は当該輸入を是正する対応を取ることができる。
閉じる