ウラジーミル・プーチン大統領は今年6月、ロシア財政改革の一環として、年金制度改革案(年金支給開始年齢を5歳引き上げ)を発表している。ただでさえ、欧米諸国からの経済制裁による景気後退に喘ぐ市民は、同大統領の弱者いじめだとして反発する声を上げている。そしてこの程、同大統領の仇敵主である野党勢力指導者のアレクセイ・ナワルニー氏(42歳)の呼び掛けで、全国80都市以上で一斉に反対集会・デモが繰り広げられた。デモ隊は口々に「プーチンは泥棒」等と連呼しながらも比較的静かに行進したものの、当局は集会自体が違法だとして、800人以上を逮捕・拘束する強硬策に打って出た。なお、本改革案が発表されて以降、プーチン大統領の支持率は80%から65%へと急落している。
9月9日付米
『ロイター通信』:「ロシア警察、年金改革に反対するデモ参加者数百人を拘束」
ロシア警察は9月9日、年金制度改革案に反対する集会・デモの参加者を800人以上拘束した。
同集会・デモは、目下拘留されている野党勢力指導者のアレクセイ・ナワルニー氏が呼び掛けたもので、約2千人が参加したモスクワ含めて全国80都市以上で展開された。
ニュース映像によると、“ロシアに自由を”とか“プーチンは泥棒”と連呼して行進するデモ隊に対して、警察隊がデモ隊を追い散らしたり、警棒でぶったり、また、デモを止めさせようと引っ張り出そうとしている。...
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9月9日付米
『ロイター通信』:「ロシア警察、年金改革に反対するデモ参加者数百人を拘束」
ロシア警察は9月9日、年金制度改革案に反対する集会・デモの参加者を800人以上拘束した。
同集会・デモは、目下拘留されている野党勢力指導者のアレクセイ・ナワルニー氏が呼び掛けたもので、約2千人が参加したモスクワ含めて全国80都市以上で展開された。
ニュース映像によると、“ロシアに自由を”とか“プーチンは泥棒”と連呼して行進するデモ隊に対して、警察隊がデモ隊を追い散らしたり、警棒でぶったり、また、デモを止めさせようと引っ張り出そうとしている。当局は、集会自体が違法だとして、これを取り締まっているとする。
政治活動家らの拘束事態を監視する人権擁護団体OVD-Info発表によると、33都市の集会・デモ参加者のうち、ナワルニー氏側近も含めた839人が拘束されたという。
ナワルニー氏は、国営テレビの出演が禁止され、また、今年3月の大統領選への立候補も拒否されていた。しかし、プーチン政権への抵抗を止めようとせず、9月9日の反対集会・デモを市民に呼びかけた。
ところが先月、モスクワ裁判所は同氏が抗議取り締り法に違反したとして、同氏に30日間の拘禁刑を下した。
プーチン政権が打ち出した年金制度改革案によると、年金支給年齢を、男性は60歳から65歳に、また、女性は55歳から60歳に引き上げるものだが、ロシア国民の平均寿命は男性が66歳、女性が77歳と低い。
そのためか、プーチン大統領の支持率は、再選時の80%から65%まで急落している。
一方、同日付ロシア『タス通信』:「サンクトペテルブルグ及びモスクワでのデモ参加者約100人を拘束」
ロシア内務省の公序理事会のユーリ・ワリアエフ理事は9月9日、サンクトペテルブルグ及びモスクワにおいて違法デモの参加者約100人を拘束したと発表した。デモ隊は年金改革案に反対して、無許可でデモ行進を行っていたと付言した。
6月にプーチン政権によって発表された年金制度改革案は、現在議会で審議が行われている。
同改革案では、年金支給開始年齢を段階的に引き上げるもので、男性は2028年までに65歳に、また、女性は2034年までに63歳としている。
ただ、プーチン大統領は9月9日朝にテレビ出演して、当初案には改善が必要で、女性の支給開始年齢を60歳とするとか、2019年以降の早期退職者の失業給付金を2倍にするとか、また、定年退職者の地価税や不動産税の優遇措置を導入する等を同改革案に付加すると発表した。
なお、大統領改定案は、9月24日に年金制度改革法改定案として議会に提出される。
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