フランスのマクロン大統領は4日、辞任した環境相の二コラ・ユロ氏の後任に、下院(国民議会)議長のフランソワ・ドルジ氏を、また同じく辞任したスポーツ相のローラ・フレセル氏の後任に、五輪競泳銀メダリストのロクサナ・マラシネアヌ氏を任命した。支持率が低迷する中、閣僚の交代により混乱を収拾し、政権安定が図れるかが注目される。
ユロ環境相は8月28日、地球温暖化対策や原子力政策が進展しないことに失望したとして、ラジオ番組の中で突然、政権の取り組みに不満を漏らし辞意を表明した。同氏は著名な環境活動家であり、政権内で最も人気のあった目玉閣僚の1人であっただけに、マクロン大統領にとって大きな打撃となったとみられている。
マクロン大統領は、ユロ氏の後任に下院(国民議会)議長のフランソワ・ドルジ氏を任命した。ドルジ氏は、環境派政党出身の経験豊富な政治家であり、昨年の大統領選挙以降、マクロン大統領の新党「共和国前進」に参加するなど、大統領に近い人物とされている。...
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ユロ環境相は8月28日、地球温暖化対策や原子力政策が進展しないことに失望したとして、ラジオ番組の中で突然、政権の取り組みに不満を漏らし辞意を表明した。同氏は著名な環境活動家であり、政権内で最も人気のあった目玉閣僚の1人であっただけに、マクロン大統領にとって大きな打撃となったとみられている。
マクロン大統領は、ユロ氏の後任に下院(国民議会)議長のフランソワ・ドルジ氏を任命した。ドルジ氏は、環境派政党出身の経験豊富な政治家であり、昨年の大統領選挙以降、マクロン大統領の新党「共和国前進」に参加するなど、大統領に近い人物とされている。
フレセル・スポーツ相は4日、「個人的な理由」で辞任を表明した。同氏はアトランタ五輪で金メダルを獲得するなど輝かしい実績を残した元フェンシング選手で、やはり人気閣僚だった。同氏の後任には、シドニー五輪競泳銀メダリストであり、政治経験もあるロクサナ・マラシネアヌ氏が任命された。
4日に明らかになったフランスの調査会社IFOPの最新の世論調査結果によると、マクロン大統領の支持率は31%で、7月の前回調査から10ポイント下落し、2017年5月の就任以来最低の水準となった。これは就任後の同期間経過時で、不人気だったオランド前大統領の支持率をも下回っている。
IFOPは支持率下落の原因について、ユロ環境相の電撃辞任や、側近によるメーデーのデモ参加者への暴行問題などの一連のスキャンダルの他、年金改革などの政策において、大統領が一般国民を理解していないと人々が感じていることなどを挙げた。
マクロン大統領は、自らに近い下院議長を環境相に、政治経験もある元五輪選手をスポーツ相に任命することで、これ以上の混乱を避けて政権の安定を目指し、今後予定している各種の改革に取り組むものと考えられるが、今回の閣僚交代によって、支持率が上向くかどうかについては不透明だ。
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