米住宅都市開発省(HUD)は17日、交流サイト大手フェイスブックに対する訴訟を提起した。同社の配信対象を絞った広告システムが、住宅の販売者や賃貸物件の大家による購入者や賃借人の差別を違法に容認しているという。
裁判所に提出された訴状によれば、フェイスブックの広告主らは、住宅の販売や賃貸について、人種、宗教、性別、国籍、障害の有無などの要素に基づき、広告の配信先を絞ることができる。人種については、郵便番号により、どの地域にどのような人種が多いか少ないかの線引きも行われたとされている。
こうした「ターゲット広告」は、住宅の販売者や賃貸人らに、特定グループの人々に対する差別を許容し、公正住宅法に違反するとHUDは主張する。...
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裁判所に提出された訴状によれば、フェイスブックの広告主らは、住宅の販売や賃貸について、人種、宗教、性別、国籍、障害の有無などの要素に基づき、広告の配信先を絞ることができる。人種については、郵便番号により、どの地域にどのような人種が多いか少ないかの線引きも行われたとされている。
こうした「ターゲット広告」は、住宅の販売者や賃貸人らに、特定グループの人々に対する差別を許容し、公正住宅法に違反するとHUDは主張する。同法は、住宅の販売や賃貸に関する広告について、人種や肌の色、宗教、性別、障害の有無、家庭の状況、国籍などによる差別を禁じるものだ。また、HUDとニューヨーク州南部の弁護士団が訴訟について提出した文書では、フェイスブックはサイトの運営会社であり、責任は限定されるとの同社主張に対し、コンテンツ提供者と同様の責任を負うべきと反論している。
HUDのアンナ・マリア・ファリアス氏(公正住宅・機会均等担当)は声明で、「フェイスブックが収集した膨大な量の個人データが、広告主らの差別を助長するために用いられているのなら、(一部の購入者や賃借人を)門前払いしているようなものだ。」と批判した。
HUDは訴訟の提起に先立ち調査を実施し、フェイスブックの広告主らは、身体障害者補助犬、育児、中国、聖書などに興味を示した人々といった類型により、配信対象者から一部のユーザーを除外することが可能であることを確認していた。
フェイスブックの広報担当者は、同社には差別を禁止する方針がある他、広告主によるターゲット広告の悪用を防止するため、この1年の間にシステムを強化しており、差別を助長しているとの訴訟に対しては、戦っていくとコメントした。同社は2016年、特定の人種の人々を除外する広告を容認していると報じられ、既に対応済と説明している。
広報担当者は、「フェイスブック上では差別の場はない。」と言い切り、「我々は訴状などによる先方主張は認識しており、それに対しては法廷で応じる。そして当社は、HUDの懸念に対処するため、引き続き同省には直接協力していく。」と述べた。
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