米カリフォルニア州ロサンゼルス郡都市圏交通局と米運輸保安庁(TSA)は14日、乗客の身体をチェックし、所持品を検査するための身体スキャナーを、公共交通としては全米で初めて、ロサンゼルスの地下鉄に導入することを発表した。2028年のロサンゼルス五輪に向けた対策の一環と見られるが、今後他の地域への導入も予想される。
新技術を利用した身体スキャナーは、駅構内のエスカレーターを下った場所などに置かれ、歩いてきた乗客の身体を一定の距離からスキャンして、武器や爆発物を隠し持っていないかを調べる。乗客は立ち止まって検査を受ける必要はない。
スキャナーは英国に本拠を持つスルービジョン社製で、約9メートル離れた地点にいる乗客もスキャン可能であり、1時間に2,000人以上を検査できる。金属製の物体でも非金属の物体でも検知するが、ロサンゼルス郡当局では、主に大量殺傷が可能な武器などを検知することが導入の目的であるとしている。...
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新技術を利用した身体スキャナーは、駅構内のエスカレーターを下った場所などに置かれ、歩いてきた乗客の身体を一定の距離からスキャンして、武器や爆発物を隠し持っていないかを調べる。乗客は立ち止まって検査を受ける必要はない。
スキャナーは英国に本拠を持つスルービジョン社製で、約9メートル離れた地点にいる乗客もスキャン可能であり、1時間に2,000人以上を検査できる。金属製の物体でも非金属の物体でも検知するが、ロサンゼルス郡当局では、主に大量殺傷が可能な武器などを検知することが導入の目的であるとしている。
ロサンゼルス地下鉄(LAメトロ)のニュースリリースによれば、物体が服で隠されていたり、人物に固定されていたりすると、システムのソフトウエアが、画面上の体の部分に黒い点を映し出すか、違う色を重ねて表示する。スキャナーの装置から放射線が放出されることはなく、服を透視するが、画面上に乗客の身体構造が映し出されることはない。
TSAはLAメトロと提携し、過去1年間にわたり、3路線が交わる主要駅の7thストリート/メトロセンター駅で、このポータブルの保安検査用装置であるスキャナーの試験利用を行ってきた。今後数カ月の間に正式に導入される。導入後、各駅には乗客に検査が行われる旨の注意事項が表示される。検査を拒否すると地下鉄に乗ることはできない。
郡の管理官であり、LAメトロ会長のシーラ・キュール氏は声明で、「我が国の公共交通インフラに対する脅威の増大に対処するため、新技術をテストすることにおいて、LAメトロは業界の主導者であった。新技術は我々の安全に対する積極的な姿勢を強化し、我々の交通システムに対する潜在的な攻撃を、先手を打って阻止する一助となる。」と述べた。
TSAはニュースリリースで、「評価や実験の過程で提携を行ってきたが、最終的に、乗客の安全を守りながら、潜在的なテロ行為の検知と阻止につながるものとして、推薦されたシステムの購入に至った。」と今回の決定の経緯を説明している。
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