台湾の蔡英文総統は12日、外交関係のある南米パラグアイと中米ベリーズを訪問するため、台湾を出発した。9日間の日程で、往復時に米ロサンゼルスとヒューストンをそれぞれ経由するが、その際の米国側の対応に関心が集まっている。
蔡総統は、パラグアイでの3日間の滞在中、ベニテス新大統領の就任式に出席し、新旧大統領との会談の他、同国と共同で新設する工科大学の開学式、台湾のコンピュータ会社エイサーのタブレット端末を学校に寄付する催しなどに立ち会う。その後3日間訪問するベリーズでは、ヤング総督、バロウ首相との面会や、議会での演説などを予定している。
トランプ米大統領は今年3月、「台湾旅行法」に署名した。台湾との高官交流を促進するものであり、それまでは今回のように台湾総統が米国を経由して第三国を訪問することは認めていたが、閣僚レベルでの相互訪問などを含めた交流については認めていなかった。...
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蔡総統は、パラグアイでの3日間の滞在中、ベニテス新大統領の就任式に出席し、新旧大統領との会談の他、同国と共同で新設する工科大学の開学式、台湾のコンピュータ会社エイサーのタブレット端末を学校に寄付する催しなどに立ち会う。その後3日間訪問するベリーズでは、ヤング総督、バロウ首相との面会や、議会での演説などを予定している。
トランプ米大統領は今年3月、「台湾旅行法」に署名した。台湾との高官交流を促進するものであり、それまでは今回のように台湾総統が米国を経由して第三国を訪問することは認めていたが、閣僚レベルでの相互訪問などを含めた交流については認めていなかった。同法の成立後、初めての蔡総統の米国立ち寄りであり、現地の華僑などを訪問するが、米政治家とさらに交流するかなど、米国側の対応に関心が寄せられている。
蔡氏の出発前、台湾の公営エネルギー企業の台湾中油(CPC)が、米国から液化天然ガスを25年間、250億ドルで購入する契約の締結を発表した。台湾の貿易黒字を削減し、米台の関係強化を目的としたものだが、訪問に当たっての米国側への配慮とも見られる。
中国は、米国が「一つの中国」の原則を守り、蔡氏が米国を経由するのは認めるべきでないと早速不満を表明した。中国は台湾を国際社会から孤立させようとしており、最近では世界の航空会社に対し、台湾を中国の一部として取り扱うよう、各社のウェブサイトなどの表示を見直すよう要求した。
そうした中国からの圧力により、蔡氏が2016年に総統に就任して以来、台湾は4カ国から断交されている。台湾と外交関係を維持する国は、中南米の他、南太平洋やカリブ海諸国など18に減った。蔡氏は今回のようなトップ外交を行うことにより、自ら関係のつなぎ止めを図っている。
蔡総統は、「海外に出れば、全世界は台湾とその民主主義や自由を支持する姿勢をわかってくれるだろう。誰もが台湾の存在を消し去ることができないように、我々はただ確固たる姿勢を貫くことが必要だ。」と出発前に述べ、中国の圧力に屈しない姿勢を強調した。
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