ドイツ政府は、欧州連合(EU)域外からの国内企業への投資や買収について、出資比率が15%以上の場合に政府が介入できるよう、規制の強化を検討していると、独ディ・ヴェルト紙が7日に報じた。
ドイツの他、米国、英国、フランス、オーストラリアなどの国々は、買収を通じ、中国などの競争相手国に重要な技術情報が流出することを強く警戒している。ドイツは昨年、中国企業による国内有力企業の買収が相次いだことを受けて、外資による出資比率が25%に達した場合に政府が介入できるよう、規制を強化した。
ディ・ヴェルト紙は、もしEU域外の投資家が「ドイツ企業で直接的あるいは間接的に少なくとも15%の議決権を獲得する出資を行った場合」に、独経済・エネルギー省が介入することを可能とする規制の草案を入手したとして引用している。...
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ドイツの他、米国、英国、フランス、オーストラリアなどの国々は、買収を通じ、中国などの競争相手国に重要な技術情報が流出することを強く警戒している。ドイツは昨年、中国企業による国内有力企業の買収が相次いだことを受けて、外資による出資比率が25%に達した場合に政府が介入できるよう、規制を強化した。
ディ・ヴェルト紙は、もしEU域外の投資家が「ドイツ企業で直接的あるいは間接的に少なくとも15%の議決権を獲得する出資を行った場合」に、独経済・エネルギー省が介入することを可能とする規制の草案を入手したとして引用している。新たな規制の年内の実施に向けて、現在、他の省庁との調整が行われているという。
同紙はさらに、「防衛関連企業、重要インフラ、あるいはITセキュリティーなどの市民の安全に関連した技術分野への投資については、将来詳細に監視していきたい。」とのペーター・アルトマイヤー経済相の発言を紹介した。
同経済相は、企業には引き続きドイツで投資してもらいたいが、そうした投資が国家安全保障上の利益に影響する可能性があると指摘した。審査基準の引き下げにより、取り扱いに慎重を要する経済分野での買収案件を、さらに多く審査することができるようになると、その利点を説明している。
先週ドイツ政府は、中国企業の煙台市台海集団が、独工作機器メーカーのライフェルト・メタル・スピニングに対する買収計画を撤回する直前、安全保障上の理由から、買収に拒否権を行使する構えを見せた。また先月、独経済・エネルギー省は、国営金融機関を通じ、送電大手の50ヘルツの株式を20%取得したが、中国の国営送電会社による取得を阻み、再生エネルギー利用などの技術の流出を防止するためだったと言われている。
ドイツの情報機関の責任者は、機密情報の入手を狙う中国の国営企業が、通常民間企業が仕掛ける買収交渉の背後にいる可能性を指摘し、中国からのサイバー攻撃の減少と、投資案件の増加の間には、相関関係があるように思われると述べた。
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