トルコ政府は19日未明、非常事態宣言を2年ぶりに解除した。しかし一方で、デモや集会の制限などを定める新たな法案を準備しており、野党などから実質的に非常事態を継続し、国民をさらに抑圧するものであると非難する声が上がっている。
トルコでは、2016年7月15日にクーデター未遂事件が発生し、軍用機が首都アンカラを爆撃し、イスタンブールで激しい衝突が起きるなどして、約250人が死亡した。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、その5日後の7月20日に非常事態を宣言した。
同国政府はその後、3カ月毎に非常事態の延長を議会に求め、これまで7回延長していたが、先月の大統領選挙で再選されたエルドアン氏が8回目の延長はしないと宣言し、19日の午前1時で失効したものである。...
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トルコでは、2016年7月15日にクーデター未遂事件が発生し、軍用機が首都アンカラを爆撃し、イスタンブールで激しい衝突が起きるなどして、約250人が死亡した。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、その5日後の7月20日に非常事態を宣言した。
同国政府はその後、3カ月毎に非常事態の延長を議会に求め、これまで7回延長していたが、先月の大統領選挙で再選されたエルドアン氏が8回目の延長はしないと宣言し、19日の午前1時で失効したものである。
非常事態の継続中、政府は同国の現代史上最大の粛清を行った。粛清の対象は、政府が事件の首謀者とする在米トルコ人の学者でイスラム市民運動の指導者、フェトフッラー・ギュレン師の支持者や、クルド人や左翼の活動家、ジャーナリストなどにも及び、7万7,000人以上が身柄を拘束され、警察、軍人、学者、検察官、判事など11万人の公務員らが職を追われた。今月、政府は1万8,632人を解雇したが、その多くが警察官や軍人で、テロ組織や国家の安全保障を損なうグループとの関係を疑われてのものだった。
非常事態は19日に解除されたが、政府は一方で、当局が非常時の権限を一定程度保持する新たな厳しい反テロ法案を準備している。アブドゥルハミト・ギュル法相は、「非常事態の終了で、我々のテロとの戦いが終わったわけではない。」と述べた。
法案は、来週議会に提出される予定で、当局に対し、テロ組織と繋がりがあると認められる公務員を非常事態と同様の条件で免職することを認める。また、公共の場所でのデモなどの抗議活動や集会は、公の秩序を乱さない場合に限り、主催者が深夜12時まで継続の例外措置を求めることができるが、原則日没後は禁じられる。さらに地元当局が、保安上の理由により、指定場所への出入りを15日間禁じることができるなどの内容が盛り込まれており、これらの権限は今後少なくとも3年間有効としている。
同国の最大野党の共和人民党(CHP)は、同法案について、非常事態時の厳しい規則を恒久的なものとしており、実質非常事態を継続するのと変わらないと批判した。
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