欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会は18日、米アルファベット傘下のグーグルが、同社基本ソフト(OS)「アンドロイド」に関し、EU競争法(独禁法)に違反したとして、過去最高の制裁金43億4,000万ユーロ(約5,700億円)の支払いを命じた。
欧州委員会は、グーグルがネット検索における独占的地位を固めるため、携帯端末用OSアンドロイドを利用し、競合他社を排除したとしている。競争法違反による同社への制裁は昨年6月以来で、制裁金は最高額だった当時の24億2,000万ユーロを大きく上回る。
グーグルは、携帯端末メーカーなどに対し、無料でアンドロイドOSの利用を認めており、世界のスマートフォンの80%に搭載されているとする統計もある。...
全部読む
欧州委員会は、グーグルがネット検索における独占的地位を固めるため、携帯端末用OSアンドロイドを利用し、競合他社を排除したとしている。競争法違反による同社への制裁は昨年6月以来で、制裁金は最高額だった当時の24億2,000万ユーロを大きく上回る。
グーグルは、携帯端末メーカーなどに対し、無料でアンドロイドOSの利用を認めており、世界のスマートフォンの80%に搭載されているとする統計もある。同社の反競争法行為は2011年に遡り、同OSを使用する端末メーカーに同社の検索エンジンとブラウザーの「クローム」を事前に搭載するよう強要し、他社製品を排除していたという。
欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員(競争政策担当)は記者団に対し、「グーグルは、自社の検索エンジンの優位性を固めるための手段としてアンドロイドを利用した。」として、これにより、競合他社は技術革新や競争の機会を失い、欧州の消費者は競争から得られる恩恵が得られなくなったと制裁理由を説明した。
ベステアー委員は、アップルとの競争があるとのグーグルの主張に対し、アイフォンは価格も高価であり、ユーザーが端末に慣れる努力も必要としてこれを退けた。グーグルの分割をすべきかとの記者団の質問には、本質的な問題の解決にはならないと語り、いずれにせよ、「競争のためには、プレーヤーを増やすことが必要」であると述べた。
グーグルはまた、90日以内に、スマートフォンメーカーや通信業者との反競争的なビジネス慣行を停止するか、上訴してその期間中の制裁履行の延期を求める必要がある。これに従わない場合、アルファベットの世界売上一日当たり平均額の最高5%が罰金としてさらに科されることになる。グーグルは既に上訴する意向を示している。
グーグルのサンダー・ピチャイ最高責任者(CEO)は、今回の決定は、アンドロイドのように仕様やソースコードなどを公開したオープンプラットフォームの無料提供よりも、アップルのように厳しく管理された出荷モデルが良いというメッセージを送りかねないとして、慎重にバランスを取って進めてきた同社の方法が損なわれると懸念を表明した。
閉じる