英政府は16日、次世代戦闘機「テンペスト」の開発計画を明らかにした。2035年頃までの実戦配備を目指しており、最終的に2040年まで使用予定の「ユーロファイター・タイフーン」の後継機となる。また、日本など複数国に対し費用負担を含めた連携も打診しているという。
ロンドン郊外で開催中のファンボロー国際航空ショーで、ガビン・ウィリアムソン国防相が計画を発表した。2025年までに約20億英ポンド(約3,000億円)を開発費として投じ、さらにパートナーとして、他国に費用負担を含めた協力を求めていくとしている。
テンペストは、1980年代に英国、ドイツ、イタリア、スペインの4カ国が共同開発した「ユーロファイター・タイフーン」の後継機となる予定だが、英国最大の国防関連企業BAEシステムズが、英航空機エンジンメーカーのロールスロイス、イタリアの航空・防衛企業レオナルド、欧州の武器製造企業のMBDAなどとともに、開発・製造に当たる。...
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ロンドン郊外で開催中のファンボロー国際航空ショーで、ガビン・ウィリアムソン国防相が計画を発表した。2025年までに約20億英ポンド(約3,000億円)を開発費として投じ、さらにパートナーとして、他国に費用負担を含めた協力を求めていくとしている。
テンペストは、1980年代に英国、ドイツ、イタリア、スペインの4カ国が共同開発した「ユーロファイター・タイフーン」の後継機となる予定だが、英国最大の国防関連企業BAEシステムズが、英航空機エンジンメーカーのロールスロイス、イタリアの航空・防衛企業レオナルド、欧州の武器製造企業のMBDAなどとともに、開発・製造に当たる。
公表された計画では、テンペストは有人飛行だけでなく、ドローンとして無人飛行も可能だ。現代の脅威に対処するために、人口知能(AI)や機械学習システムを使用し、レーザー、マイクロ波、微粒子などを集中的に噴出して目標を破壊する指向性エネルギー兵器(DEW)などの次世代テクノロジーを搭載する。
ドイツとフランスは昨年、次世代戦闘機の共同開発計画を明らかにしており、仏航空機メーカーのエアバスやダッソー・アビアシオンが開発を主導している。英国も次世代戦闘機の開発計画を発表したことにより、欧州内の今後の防衛協力の構図が不明確になった。
業界の専門家は、英国の欧州連合(EU)離脱後の欧州との関係について合意が成立すれば、独仏と英国の2つの計画は最終的に統合も可能だが、統合が不可能となれば、欧州の防衛市場はさらに分断化すると警告する。最先端の次期戦闘機の開発には多額の費用を要するため、欧州で2つの計画を進める需要はおそらくないと指摘している。
英空軍のサイモン・ロシェル少将は、2つの計画が統合されるか否かは不明であるとして、スウェーデンや日本など、多くのパートナー候補国と協議していることを明らかにした。アナリストらは、スウェーデンを有力候補に挙げているが、日本や韓国、トルコ、サウジアラビアなども可能性があると見ている。
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