日本政府は昨年12月、北朝鮮の弾道ミサイル発射の脅威が高まっているとして、陸上イージス・ミサイル防衛システム(1基約1,000億円)2基の導入につき閣議決定している。その後、歴史的な米朝首脳会談を経て、北朝鮮が対話路線へと方針転換しつつある中、日本政府は、依然北朝鮮の脅威は変わらず防衛力増強は必須として、7月早々にも同システム導入を最終決定すると報じられている。
6月29日付
『ロイター通信米国版』:「日本、米国製の最新式ミサイル防衛システム購入を最終決定」
防衛関係者の話によると、日本政府は早ければ7月2日、かねて導入を計画していた、米国製陸上イージス・ミサイル防衛システム2基の購入を最終決定する予定だとする。
日本政府高官の話では、同システムを2023年までに導入・運用したい意向で、そのため今年8月にリリースされる防衛予算の中に、当該導入費用を見込む予定であるという。...
全部読む
6月29日付
『ロイター通信米国版』:「日本、米国製の最新式ミサイル防衛システム購入を最終決定」
防衛関係者の話によると、日本政府は早ければ7月2日、かねて導入を計画していた、米国製陸上イージス・ミサイル防衛システム2基の購入を最終決定する予定だとする。
日本政府高官の話では、同システムを2023年までに導入・運用したい意向で、そのため今年8月にリリースされる防衛予算の中に、当該導入費用を見込む予定であるという。
6月12日に開催された米朝首脳会談を経て、北朝鮮の脅威は減じられつつあるとみられるが、日本政府としては、依然北朝鮮の脅威に備える必要があるとし、更に、長期的には増大する中国の軍事力への対抗措置が念頭にある。
実際問題、中国人民解放軍は、日本が射程距離となる弾道ミサイルを数百発保有しているため、日本としても最新鋭の防衛システムを配備する必要があると判断しているとみられる。
同システムの具体的候補は、レイテオン社製のSPY-6か、ロッキード・マーチン社製LRDRと言われているが、いずれも2基合計で20億ドル(約2,200億円)となる。
なお、この導入の背景には、日米貿易摩擦問題の軽減もあるとみられる。
すなわち、ドナルド・トランプ大統領が昨年11月に訪日時、日本政府による米国製ステルス戦闘機F-35購入決定を評価しつつも、更に米国製の武器や商品をもっと購入して、貿易不均衡を是正するよう安倍晋三首相に強く迫っている。
実際、その後も同大統領は、日本製の鉄鋼・アルミ製品や自動車関税を賦課する話に言及するだけでなく、最終的に日米二国間貿易協定締結を求めている。
日本政府高官によると、安倍首相は今年9月、国連総会出席のため訪米する予定で、トランプ大統領とも会談することになるという。ただ、同高官は、首脳会談の協議内容についてのコメントは避けた。
なお、日本は目下、5万人の米海兵隊及び海軍将兵の駐留費用を負担しているが、対米費用補填額及び負担率とも世界最大である。
閉じる