オーストラリアの裁判所は19日、外部業者が修理したアイフォーンなどの端末を米アップルが使用不可能にしていた問題に関し、豪競争消費者委員会(公正取引委員会、ACCC)が同社を訴えていた訴訟で、消費者の権利について誤った説明をしていたことなどにより、同社に対し900万豪ドル(約7億3,270万円)の罰金を言い渡した。
本件では当初、端末の基本ソフト(OS)を更新した際に「エラー53」として知られる世界的な問題により、端末の機能が使えなくなった顧客らが、ACCCに苦情を申し立てた。顧客らはアップルから、もし同社以外の外部業者がアイフォーンやアイパッドなどの画面の破損を修理した場合には、不具合について救済が得られないなどと告げられた。
ACCCはこの苦情を受けて調査を実施した結果、アップルは、外部業者が端末を修理した場合、更新ソフトを利用して端末の機能が使えないようにブロックした上で、その解除を拒否し、顧客に対して、消費者の権利について誤ったあるいは誤解を招くような説明をしたと主張して、昨年4月に同社を連邦裁判所に提訴していた。...
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本件では当初、端末の基本ソフト(OS)を更新した際に「エラー53」として知られる世界的な問題により、端末の機能が使えなくなった顧客らが、ACCCに苦情を申し立てた。顧客らはアップルから、もし同社以外の外部業者がアイフォーンやアイパッドなどの画面の破損を修理した場合には、不具合について救済が得られないなどと告げられた。
ACCCはこの苦情を受けて調査を実施した結果、アップルは、外部業者が端末を修理した場合、更新ソフトを利用して端末の機能が使えないようにブロックした上で、その解除を拒否し、顧客に対して、消費者の権利について誤ったあるいは誤解を招くような説明をしたと主張して、昨年4月に同社を連邦裁判所に提訴していた。
本訴訟について豪連邦裁は19日、ACCCの主張を認める判断を下し、アップルが約275人の顧客に対し、端末を外部業者に修理させた場合、サポートが得られなくなると伝えていたことは、同国の消費者法に違反するとして、罰金900万豪ドルの支払いを命じた。
ACCCのサラ・コート委員長は「製品に不具合があれば、豪消費者法の下で、消費者には修理または交換、場合により返金を受ける権利が認められている。裁判所は、アイフォーンやアイパッドがアップル以外の業者により修理されたという事実のみで、消費者に対する保証の適用は停止せず、修理を受ける権利も失効しないと判断した。」と説明した。
アップルは2015年2月から2016年2月の間に、少なくとも275人のオーストラリアの顧客に対し、同社の米国のウェブサイト、オーストラリアの店舗の従業員、カスタマーサービスの電話対応などを通じ、誤解を招くような説明をしたことを認めている。
ACCCによると、アップルは調査結果を受けて、基本ソフトの更新で端末が稼働しなくなった顧客に対する補償に取り組もうとしており、今まで約5,000人の顧客に接触した。また、従業員教育、ウェブサイト上の保証や消費者法に関する情報、コンプライアンスを徹底する手続の改善も行うという。
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