アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は今月7日、6月20日までのタリバン武装勢力との無条件停戦を発表した。これに対し9日、タリバン武装勢力は、驚くべきことに政府に合意し、ラマダン明け休日にアフガニスタン軍との3日間の停戦を発表した。(6月11日付Globali「タリバン武装勢力、停戦を発表」ご参照。)
2001年、米主導のアフガニスタン侵攻以来ずっと内乱状態にあったアフガニスタンは、15日に17年ぶりの停戦にこぎつけ、平和に向けて有望な進展とみられていた。
3日間の停戦期間中、ラマダンの断食月の終了を祝うために、非武装のタリバン勢力がカブールをはじめとする都市に入っていくところを目撃されるなど、各地で和解ムードが繰り広げられていた。アフガニスタンの民間人、ジャーナリストや外交官は、政府軍や武装勢力が誠意を持って接し、抱きしめ、写真を取り合う写真や動画を投稿した。
その後、16日、アフガニスタン東部のナンガハール州でタリバン武装勢力と政府治安部隊がラマダン明け祭りに集まり、互いに抱きしめ合っていたところ、自爆テロが発生した。イスラム国によるこの爆破事件は、ロダート地区で発生し、36人が死亡、60人以上が負傷した。タリバン武装勢力と地元住民が犠牲となり、停戦で楽観視していた現状に水を差した。
ガニ大統領は、タリバン武装勢力を交渉のテーブルに導くために、一方的な停戦延長を発表した。16日のテレビ出演で、政府はタリバンとの「包括的交渉」の準備が整っていると述べた。一緒にラマダン明けを祝うことは「我々すべてが平和を願っていることの証明だ」と付け加えた。
またツイッターに次のように投稿した。「我々はタリバンにも停戦延長を要請する。停戦中は、タリバン負傷者に医療支援を提供し、必要に応じて人道的援助を提供する。タリバンの囚人も家族と連絡を取り、会うことができる。」
しかし17日、タリバン武装勢力は停戦延長要請を拒否し、停戦は17日夜をもって終了し、治安部隊に対する軍事活動を再開すと報道官が述べた。
その17日夜を目前に、二度目の爆撃がジャララバードであり、多数が死亡した。ナンガハール州庁舎付近で発生した爆撃は、休日を祝う群衆を標的にしたものだった。
今のところ犯行声明は出ていないがイスラム国による攻撃とみられている。イスラム国は今回の停戦の対象に含まれておらず、過去にもタリバン武装勢力と衝突を起こしている。
ナンガハール州の公衆衛生責任者のナジブラ・カマワル博士によると、17日の爆発で少なくとも17人が死亡し、50人が負傷した。
爆撃を受けて、タリバン武装勢力のスポークスマン、ザビフラ・ムジャヒド氏は「神のおぼしめしにより、今夜をもって停戦が終了し軍事活動が再開する。停戦を延長する意思はない。」と述べた。停戦は休日を平和に祝うために行っただけで、政府の停戦発表に応じたわけではないとしている。
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