トランプ大統領は@RealDonaldTrumpというアカウント名で、政治的計略を推し進めたり、政策発表や批評家攻撃をしたりするなど、ツイッターを自身の任期に不可欠かつ物議をかもすツールとして利用している。しかし、多数の批評家をブロックしているため、批評家らは大統領のツイートに直接意見を述べることができない。
マンハッタンのナオミ・ライス・バックワルド連邦地裁判事は、大統領や他の政府関係者のアカウントにおけるコメントは公の空間でなされたものであり、ツイッターのユーザーが自分たちの見解をブロックされることは憲法修正第1条(言論の自由)の下での自由な発言権を侵害していると判断した。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校で憲法修正第1条問題を専門とするユージン・ボロック教授は、この決定の効果は大統領にとどまらないだろうと述べた。「全国の政府当局者に幅広く適用されるだろう」ということだ。
トランプ大統領を代表する米国司法省は、「我々は裁判所の決定に失礼ながら同意しかね、次のステップを検討している」と述べた。
訴訟の当事者ではないツイッター社はコメントを拒否した。
昨年7月にコロンビア大学の言論の自由擁護団体「ナイト・ファースト・アメンドメント・インスティチュート」とツイッターユーザー数名が、大統領を相手にこの訴訟を起こした。個人の原告には、メリーランド大学の社会学教授のフィリップ・コーエン氏、ワシントン州の政治オーガナイザーおよびソングライターとして訴状に記載されているホーリー・フィゲロア氏、テキサス州警察官ブランドン・ニーリー氏などが含まれる。
昨年6月に「腐敗し無能の権威主義者」の言葉とともに大統領の画像を投稿しトランプ大統領のアカウントからブロックされたコーエン教授は、23日の決定に「嬉しい。この決定は司法システムに対する私の信用を少し増す。」と述べた。
小説家スティーブン・キングとアン・ライス、コメディアンのロジー・オドネル、モデルのクリシー・テイゲン、女優マリーナ・サーティス、退役軍人グループVoteVets.orgも、これまでにトランプ大統領にブロックされたユーザーである。
バックワルド判事は、トランプ大統領自身の修正第1条によりやりとりしたくない人々をブロックすることができるとの司法省弁護士の主張を却下した。「大統領個人の憲法修正第1条の権利を認識しなければならないが、批判した人々の憲法修正第1条の権利を侵害するような方法で権利を行使することはできない」と述べた。批評家が言論の自由を侵害されることなくツイートしたものを、大統領が見ない、つまり「ミュート」することができたはずだとの考えを示した。
デューク大学の憲法を専門とするスチュアート・ベンジャミン教授は、トランプ大統領やその他の役人のツイッターアカウントの一部が公の空間だとするバックワルド判事に同意できない、公とするならば政府によるその旨明示した文書を必要とすると述べた。ベンジャミン教授は、「トランプ大統領が100人の選挙人にスピーチを行い、そのうちの1人が彼を侮辱した場合、その人を排除してもよい」と述べ、控訴すれば大統領がバックワルド判事の判決を覆す可能性が高いと考える。
判決では、大統領にユーザーのブロックを解除する指示はなかった。大統領側は、裁判所が大統領に対して直接命令を出す権限を持っていないと主張し、バックワルド判事は、これには同意しないと述べたが、この判決を受けて被告人であったトランプ大統領やソーシャルメディアディレクターのダン・スカヴィノ氏はブロックを解除するだろうとみている。
コーエン教授は、現地時間23日夕方時点で、大統領はまだブロックを解除していないと述べた。「個人的には、法的な圧力なしには解除しないだろう。」ともらした。
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