米国で複数の活動家団体が連合し、今週フェイスブックの分割を求める運動を開始した。世界最大のソーシャルメディアが、社会生活や民主主義に影響力を持ちすぎるとして、分社化が必要と主張している。
運動を始めたのは、デジタルの権利、個人情報の保護、寡占状態への反対などを訴える団体の連合体「フェイスブックからの自由(Freedom from Facebook)」で、ウェブサイトとフェイスブックのページを立ち上げ、支持を集めている。フェイスブックに対し、画像共有アプリ「インスタグラム」、メッセージ交換アプリ「ワッツアップ」、通信用アプリ「メッセンジャー」毎に同社を分社化させて競争を促進するとともに、強固な個人情報保護の規則を策定することなどを求めるよう、米連邦取引委員会に請願を提出するという。
同連合は、「フェイスブックとマーク・ザッカーバーグは、恐ろしいほど巨大な力を蓄積した。」とウェブサイトで指摘した。「フェイスブックは、毎日世界中の数十億人の人々が目にするニュースを一方的に決定している。同社は自社の独占状態を守るため、潜在的な競争相手を買収し、あるいは破産に追い込み、技術革新や選択の自由などを抹殺している。同社はウェブ上で我々がどのサイトを見ているのかをほぼ全て把握し、スマートフォンを通じ、実世界での動きまで追跡している。」と述べている。
2016年の米大統領選でトランプ陣営が起用した英コンサルティング会社、ケンブリッジ・アナリティカによるフェイスブックの個人データ不正使用疑惑が大きな問題となっている。約8,700万人のユーザーのデータが不正に流出し、フェイスブックは米国や欧州で厳しい批判の的となっており、ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、先月米議会で陳謝し、22日には欧州議会でも謝罪するとともに、再発防止策を講じていると説明した。
フェイスブックの広報担当は、分社化を求める運動に対し声明で、ユーザーは同社のアプリに加え、他社が提供する無料サービスなど平均8種類のアプリを使っており、競争が行われる環境が存在する、個人情報の設定などもユーザーの管理範囲を拡大したと反論した。ザッカーバーグ氏も、先月米議会で、同社は独占状態にはないと発言している。
フェイスブックのユーザーは世界中で20億人と見積もられており、ワッツアップ、メッセンジャーもそれぞれ10億人超のユーザーがいる。同社分割の実現には、当局による詳細な調査が必要で、場合によっては、長期間の法廷での審理も必要となるかも知れない。
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