この事件で10人が死亡し、10人が負傷した。警察が逮捕した2名のうち、容疑者の1名は17歳のパゴーチス青年と特定された。
銃撃事件が発生した場合、トロールが大量のフェイクニュースをソーシャルネットワークに送り付けるのが慣例となっており、しばしばフェイスブックやツイッターのモデレーションアルゴリズムをすり抜けてしまう。今年2月のフロリダ州パークランドの高校での銃撃事件や昨年10月のラスベガスのカジノで起こった大量虐殺事件がその例だ。...
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この事件で10人が死亡し、10人が負傷した。警察が逮捕した2名のうち、容疑者の1名は17歳のパゴーチス青年と特定された。
銃撃事件が発生した場合、トロールが大量のフェイクニュースをソーシャルネットワークに送り付けるのが慣例となっており、しばしばフェイスブックやツイッターのモデレーションアルゴリズムをすり抜けてしまう。今年2月のフロリダ州パークランドの高校での銃撃事件や昨年10月のラスベガスのカジノで起こった大量虐殺事件がその例だ。フェイスブックが2018年の1~3月の3カ月で5億3800万の偽アカウントを自動的に削除したと主張しているように、同社は偽のアカウントを削除するためのアルゴリズムは備えている。
しかし、偽のアカウントがあまりに急激に増加したため、18日、自動削除を行うフェイスブックの人工知能が追い付かなくなってしまった。同社は今もパゴーチス青年になりすましていると思われる多くの偽アカウントを削除している。「われわれは、特定された犯人のアカウント及び偽アカウントも削除している」とフェイスブックは声明で述べている。実際の犯人のフェイスブックのプロフィールが削除される前、パゴーチス青年は新ナチスの画像でコンテンツを投稿していたという。
フェイスブックの偽アカウントは、政治色が濃く見えるよう表紙の写真とプロフィール写真に一ひねり加えられ、容疑者の名前で複数作成された。いくつかは犯人の写真を加工して「ヒラリー2016(大統領選)」の帽子をかぶったプロフィール写真と、「反ファシズム主義」のカバー写真をアップしている。表紙画像にトランプ大統領の2020年大統領選キャンペーンの写真が表示されるものもあった。
これらの偽のプロフィールが作成される背景には、銃を乱射する人は政治的動機に基づいていると思わせるためである。トロールは、同じようにして、ラスベガスのカジノの大量虐殺事件の後、犯人のステフェン・パドックを偽のフェイスブックアカウントを使って反ファシズム主義者に仕立て上げた。
しかし、今回驚いたのは、警察が犯人の名を発表してから偽アカウントが作成されるまでが20分足らずだったことである、とテロに対抗するシンクタンクに勤務する偽情報アナリストのクリス・サンプスン氏は述べる。
今回、誰が偽アカウントを作成したのか不明だ。過去には、ロシア関連のトロールや混乱を広めたい人によって偽アカウントが偽キャンペーンの一環として作成された。
このような状況を防ぐために、新しいアカウントが作成された場合、公開前に一定の待機期間を設けたり、フェイスブックが偽アカウントの可能性を探るためにニュースをより真剣に見たりすべきだとの批判も出ている。
(*)5月18日付記事「5月18日の朝、アメリカのテキサス州の高校で17歳の少年による乱射事件が発生した」ご参照
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