トランプ大統領は、日中両国との貿易不均衡是正に、形振り構わず猛進しようとしている。米ワシントンで開かれていた主要20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議においても、米中摩擦が世界経済に与える影響を懸念するだけで、具体的打開策が打ち出せなかった。しかし、週末に会見した米財務長官は、自身が近く訪中して中国首脳との直接交渉をする予定であることを明かし、米中間貿易問題は間もなく解決できると楽観視するコメントを出した。もし、この話が米中首脳会談と同様に急転直下進展することになるとすると、米側が強硬に主張する日米二国間貿易に消極的な日本だけが関税賦課されたままとなり、またしても他関係国から取り残される恐れが出てきた。
4月21日付米
『AP通信』:「ムニューシン財務長官、米中貿易摩擦解決を楽観視」
先週ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議において、国際通貨基金(IMF)及び世界銀行の両代表は、米中貿易摩擦問題が好調に成長しつつある世界経済に悪影響を与えかねないと、繰り返し警告した。
しかし、同会議閉幕後の4月21日に会見したスティーブン・ムニューシン財務長官は、米中間貿易摩擦問題は貿易戦争に発展することなく解決されようと、楽観的な見方を披露した。...
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4月21日付米
『AP通信』:「ムニューシン財務長官、米中貿易摩擦解決を楽観視」
先週ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議において、国際通貨基金(IMF)及び世界銀行の両代表は、米中貿易摩擦問題が好調に成長しつつある世界経済に悪影響を与えかねないと、繰り返し警告した。
しかし、同会議閉幕後の4月21日に会見したスティーブン・ムニューシン財務長官は、米中間貿易摩擦問題は貿易戦争に発展することなく解決されようと、楽観的な見方を披露した。
同長官は、今月初めに習近平(シー・チンピン)国家主席が表明した、中国市場を海外資本に更に開いていくとの決定を評価しており、自身が近く訪中して、中国側と具体的交渉を行って目処を付けると表明した。
同長官はまた、トランプ政権は貿易戦争を仕掛ける意向はなく、ただ、不公平な競争を強いられて米雇用が毀損されないように防ぐための方策を取ろうとしているだけだと付言した。
なお、同長官は4月20日、IMFに対して、世界貿易機関(WTO)に定められた機能を発揮して、膨大な出超をもたらしている国々をもっと取り締るよう強く申し入れている。
4月22日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「中国、米中貿易交渉のための米高官の訪中を歓迎」
中国政府は4月22日、ムニューシン米財務長官が米中貿易問題交渉のために訪中すると表明したことに対して、商務部(省に相当)のウェブサイトで短く、歓迎するとのみコメントした。
同財務長官は4月21日、訪中時期も含めてまだ最終となっていないとしながらも、近く訪中する意向である旨語っていた。
同日付中国『環球時報』:「米財務長官、訪中を検討中と表明」
中国商務部の高風(ガオ・フォン)報道官は4月19日、中国が米国に対して、WTO枠組みに基づき、米中間での貿易摩擦問題の協議を提案したが、米国はこれに反して一向に交渉の席に着こうとしていないことを明らかにした。
これを受けてムニューシン米財務長官は4月21日、米中貿易問題交渉のために近く訪中することを検討しているとコメントした。
なお、IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、同日に開かれたG20記者会見の席上、貿易戦争で勝者はおらず、国際協調の中で貿易問題を解決していく必要があると警告している。
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