今年で30回目となるこの大会は、北朝鮮の創設者、故金日成の1912年の生誕を記念する行事の一環として毎年開催される。正式には万景台賞平壌国際マラソン大会と呼ばれている。
米国が渡航禁止措置を出したことと、度重なるミサイル発射といった核戦争への恐怖により、今年の参加者は減少した。例年はこのマラソンの時期に欧米人観光客が最も増える。
2017年には1,000人以上の外国人ランナーが出場したが、今年は429人にとどまった。...
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今年で30回目となるこの大会は、北朝鮮の創設者、故金日成の1912年の生誕を記念する行事の一環として毎年開催される。正式には万景台賞平壌国際マラソン大会と呼ばれている。
米国が渡航禁止措置を出したことと、度重なるミサイル発射といった核戦争への恐怖により、今年の参加者は減少した。例年はこのマラソンの時期に欧米人観光客が最も増える。
2017年には1,000人以上の外国人ランナーが出場したが、今年は429人にとどまった。ピーク時には、年間5000人以上の欧米観光客が訪れ、うち5分の1をアメリカ人が占めた。
米国は、大学生のオットー・ワームビアさんの死後、昨年9月に北朝鮮への渡航禁止措置を出した。ワームビアさんは旅行で北朝鮮を訪れた際、政治的宣伝意図のあるポスターを盗もうとし15年間の強制労働の有罪判決を受けて現地で拘留された。2017年6月に原因不明の昏睡状態でアメリカに戻されたが、その数日後死亡した。
ランナーらは金日成広場や開発計画中のミラエ・ストリートなど、首都の主要地点を駆け抜け、4万7千人収容可能な金日成スタジアムにゴールする。
北朝鮮のリ・カンボムさんが2時間12分53秒でフルマラソン男子の部で優勝した。「人々の期待に応えることができてうれしいです。」とリさんは語った。
13人のアフリカ人を含むプロ選手もこのエリート部門に参加したが、外気温一桁の寒さはアフリカの選手には不利に働いたようだ。また障害のある人も今大会から参加を認められた。
フルマラソン女子の部では北朝鮮のキム・ヘギョンさんが2時間27分24秒で優勝した。双子の姉、キム・ヘイズンさんが相次いでゴールし、姉妹でのワンツーフィニッシュとなった。
国際マラソン・ロードレース協会(AIMS)と国際陸上競技連盟(IAAF)はともに、このレースを認定し、後者は銅ラベル認定を受けたレースとして分類している。
北朝鮮は2014年から外国人アマチュアランナーにも参加を開放し始め、以降大会が観光促進につながっている。
米朝の緊張関係はランナーの参加の判断に影響を及ぼしたと考えられるが、一方で、特に2月の韓国での冬季オリンピック開催以降の北朝鮮の動きは、一部ランナーの不安を払拭したとも考えられる。
北朝鮮観光に特化する中国のコーリョー・ツアーズのサイモン・コッケレル総支配人は「観光産業は昨年後半より大きく打撃を受けた。政治劇や軍事危機により業界の売上げは少なくとも半分に落ち込んでしまった。」と言う。
ワームビアさんが参加したツアー会社、ヤング・パイオニア・ツアーズでガイドを務めるマット・クレスザ氏は、マラソン関連の顧客数は昨年に比べて減少したものの、2018年の全体的な観光客数は引続き目標どおりであると語った。「報道による北朝鮮への肯定的な発言が多いので、恐らく不可解さや危機感はほとんど消えている。」と言う。
ハーフマラソンで参加したイギリスの23歳の学生カラム・マクロッチさんは、AFP通信に対し、外務省の勧告を無視して北朝鮮に渡航することで「自慢できる」と語った。平壌は「ウェズ・アンダーソン映画のセットのようだった。もし誰かにその場所に行かないよう、言ってはいけないと言われたら、確実にもっとそこに行きたくなるものだ。」と話した。
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