既報どおり、ドナルド・トランプ大統領は、5月に予定された金正恩(キム・ジョンウン)委員長との初会談に期待しているとしながらも、事態改善が見られない限り、北朝鮮に対する現行の厳しい制裁及び圧力は継続されるとツイートしている。これに即応するかのように、米国連大使の主導で3月30日、国連安全保障理事会において、北朝鮮による石油・石炭等の密輸行為を阻止するため、制裁対象リストに更に船会社・船舶等を追加する決議が採択された。
3月30日付米
『AP通信』:「米政府、国連安保理で北朝鮮に対する追加制裁決議採択と発表」
ニッキー・ヘイリィ米国連大使は3月30日、国連安保理の北朝鮮制裁委員会において、新たに21の船会社、1個人実業家及び27隻の船舶を制裁対象リストに追加する決議が全会一致で採択された旨発表した。
ドナルド・トランプ大統領は3月28日、5月に予定された金正恩委員長との初首脳会談に関し、同委員長が北朝鮮及びその国民のために最善となる行動を取ることに期待しているとしながらも、(実際の行動が明らかになるまで)現行の厳しい制裁及び圧力は継続されるとツイートしている。...
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3月30日付米
『AP通信』:「米政府、国連安保理で北朝鮮に対する追加制裁決議採択と発表」
ニッキー・ヘイリィ米国連大使は3月30日、国連安保理の北朝鮮制裁委員会において、新たに21の船会社、1個人実業家及び27隻の船舶を制裁対象リストに追加する決議が全会一致で採択された旨発表した。
ドナルド・トランプ大統領は3月28日、5月に予定された金正恩委員長との初首脳会談に関し、同委員長が北朝鮮及びその国民のために最善となる行動を取ることに期待しているとしながらも、(実際の行動が明らかになるまで)現行の厳しい制裁及び圧力は継続されるとツイートしている。
従って、同大統領意向もあって、北朝鮮による石油・石炭等の密輸行為を阻止するため、更に追加の制裁が決議されたものとみられる。
今回の追加対象は、主に北朝鮮の船社や船舶であるが、香港、中国、マーシャル諸島、パナマ、サモア及びシンガポール本拠の船社も加えられている。
安保理メンバーである英国高官は、今回の追加制裁で以て、北朝鮮の非核化が達成されるまで、国際社会は一丸となって厳しく対応していくことを宣言するものだとコメントした。
なお、これに先立つ2月、米財務省は独自に、北朝鮮の密輸行為に関わる50以上の船社、個人実業家、船舶を制裁対象とする旨発表している。
3月31日付英『ザ・ガーディアン』紙(『ロイター通信』配信):「北朝鮮の密輸:国連が新たに船社・船舶を制裁対象に追加」
追加制裁対象となったのは、中国本拠の5社を含む21の船会社、北朝鮮船籍の15隻、北朝鮮外の12隻、及び1人の台湾人実業家である。
金委員長が電撃的に訪中したことや南北朝鮮首脳会談が4月27日に設定されたこと、更には、5月に米朝首脳会談も設定されることになっている等、北朝鮮問題が前向きに進みつつある。
しかし、ヘイリィ米国連大使は、北朝鮮による石油・石炭等の密輸取引を阻止するため、最大限の制裁は引き続き行う必要があるとしている。
なお、米政府は先月下旬、33隻、27船社、1個人(台湾人実業家)を制裁対象とする案を国連安保理に提出していたが、中国側が難色を示していた。
そこで3月30日、冒頭に述べたように制裁対象を絞った上で再提出し、今回全会一致で決議が採択されたものである。
同日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』(『AFP通信』配信):「国連、米政府の提案によって中国・香港本拠の船社等を新たに制裁対象に追加」
今回、国連安保理が新たに採択した対北朝鮮制裁決議は“過去最大規模”と言われる。
新たに追加された制裁対象21船社の中には、昨年10月に北朝鮮産石炭をベトナム向けに密輸した香港の華信(ホァシン)シッピングも含まれている。
また、中国本拠の上海東風(トンフェン)シッピング及び威海(ウェイハイ)ワールドシッピングも北朝鮮産石炭を輸送した容疑で制裁対象とされた。
更に、今回の制裁対象に台湾人実業家の曾庸元(ツァン・ユンユアン)が加えられ、一切の資産凍結、また、海外渡航も禁止された。同容疑者は、ロシア在の北朝鮮ブローカーと共謀して、北朝鮮産石炭の密輸取引を企てたとされている。
なお、米ホワイトハウスは今月初め、トランプ大統領が習近平(シー・チンピン)国家主席と電話会談し、北朝鮮が非核化に向けて具体的実行に移るまで、対北朝鮮制裁を継続させていくことで合意したと表明している。
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