英国の内閣は一枚岩ではないようである。2月4日付Globali「メイ英国首相、中国首脳及び中国メディアから歓迎されるも、中国人権問題より中英貿易優先で本国では酷評」で触れたとおり、英国首脳は、国際社会から非難されている中国の人権問題より、中英経済連携強化を最優先して初訪中の成果を上げた。しかし、あろうことか訪豪中の英国防相が、同国の対潜フリゲート艦を南シナ海に派遣し、同海域における航行の自由を公に示すと発言してしまった。これに対して中国は当然のことながら、習近平(シー・チンピン)国家主席がメイ首相の訪中を歓待し、中英間の“黄金の時代”との最大限の賛辞までしたのに何たる振るまいかと、域外国の英国の暴挙として猛反発している。
2月13日付米
『AP通信』:「英国防相、同国軍艦を南シナ海に派遣すると発言」
訪豪中の英国のギャビン・ウィリアムソン国防相(41歳、昨年11月2日就任)は2月13日、豪メディア『ジ・オーストラリアン』紙のインタビューに答えて、対潜フリゲート艦“サザーランド”を豪州寄港の帰途に南シナ海を航行させて、同海域における航行の自由を公に示す考えだと表明した。
同相は、米国軍艦がこれまで実施したように、中国主権と主張する島嶼・人工島の領海内を航行させるのかまでの詳細は明かさなかったが、中国側からの反発が予想される。...
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2月13日付米
『AP通信』:「英国防相、同国軍艦を南シナ海に派遣すると発言」
訪豪中の英国のギャビン・ウィリアムソン国防相(41歳、昨年11月2日就任)は2月13日、豪メディア『ジ・オーストラリアン』紙のインタビューに答えて、対潜フリゲート艦“サザーランド”を豪州寄港の帰途に南シナ海を航行させて、同海域における航行の自由を公に示す考えだと表明した。
同相は、米国軍艦がこれまで実施したように、中国主権と主張する島嶼・人工島の領海内を航行させるのかまでの詳細は明かさなかったが、中国側からの反発が予想される。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「英国、領有権問題で揺れる南シナ海に軍艦を派遣すると発表」
ウィリアムソン国防相が南シナ海に派遣するとした対潜フリゲート艦“サザーランド”は、今週から豪州に寄港する予定である。
これまで何度か米軍艦が、航行の自由作戦として、中国主権と主張する南シナ海の島嶼・人工島の領海内を監視航行したり、また、軍事演習を展開してきたが、その度毎に中国は、主権を脅かす如何なる行為にも断固反対すると表明してきた。
従って、今回の英国軍艦の南シナ海航行についても、中国側の反発が必至である。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP・ロイター通信』配信):「中国、英国防相の英軍艦を領有権問題のある南シナ海に派遣するとの発表に対して、“問題をこじれさせるな”と反発」
英国防相の発言に対して、中国の外交部(省に相当)の耿爽(コン・シュアン)報道官は2月13日、如何なる国の船舶も南シナ海を自由に航行できている以上、わざわざ軍艦を派遣して余計な問題を引き起こすべきではないと反発した。
同国防相は、フリゲート艦”サザーランド”が豪州寄港の帰途、来月に南シナ海経由帰国させると表明したが、米軍艦がこれまで行ったように、中国主権と主張する島嶼・人工島の12海里(約22キロメーター)以内を航行させるかまでは言及しなかった。
ただ同相は、英国の同盟国である米国が展開している、航行の自由作戦を強く支持すると付言した。
更に同相は、中国のみならず、ロシアやイランについても、一方的な勢力拡大の行動に対しては、国際安全保障のためにしっかりと対抗していく必要があるとも語った。
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