マレーシアの企業の間で、2月の旧正月を前に、同国で最多の人口を持つイスラム教徒に配慮し、戌年のための犬の装飾品の展示をやめたり、控え目に演出したりする動きが広がっている。ロイター通信等のメディアが報じている。
イスラム教徒のマレー人は、マレーシアの3,200万人の人口の中で最多を占めるグループであり、中国系を上回る。犬はイスラム教の伝統では、不浄な動物と考えられており、同教徒らは、もし犬に触れた場合には、清めの儀式を行わなければならない。豚もイスラム教徒が不浄と考える動物であり、犬と豚(猪)は伝統的な中国の十二支を形成する。
観光客にも人気のある、首都クアラルンプールのブキッビンタン地域のショッピングモール「パビリオン・クアラルンプール」では、同モールの10周年に焦点を当てており、犬の装飾を用いていない。...
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イスラム教徒のマレー人は、マレーシアの3,200万人の人口の中で最多を占めるグループであり、中国系を上回る。犬はイスラム教の伝統では、不浄な動物と考えられており、同教徒らは、もし犬に触れた場合には、清めの儀式を行わなければならない。豚もイスラム教徒が不浄と考える動物であり、犬と豚(猪)は伝統的な中国の十二支を形成する。
観光客にも人気のある、首都クアラルンプールのブキッビンタン地域のショッピングモール「パビリオン・クアラルンプール」では、同モールの10周年に焦点を当てており、犬の装飾を用いていない。同モールは、宗教的・文化的な感情は、装飾のコンセプトを決める上での重要な要素となるとしている。
一方、クアラルンプールのもう1つのショッピングモール「マイタウン」では、訪問客の半数がイスラム教徒だが、犬の装飾を用いている。但し、メインの装飾品ではなく、控えめに扱っており、猪年のための豚の装飾品についても同様だという。
マレーシアは多文化の国家であるが、近年ではビアフェスティバルやコンサート等、イスラム教の文化と相いれないイベントに対する抗議活動が増えている。犬に関連したイベントや、犬の名前のついた飲食物に対しても、宗教的な観点から反対する動きがある。
2014年の英グラスゴーでのコモンウェルスゲームズ(英連邦の国・地域の総合競技大会)の開会式では、アスリートらが参加国や地域の名称を書いた衣装を着用したスコティッシュ・テリアと共に行進したが、マレーシアの政治家は「無礼だ」として反対を表明した。2016年には、イスラム教指導者が、人気のプレッツェル・チェーン、「アンティ・アンズ」に「プレッツェル・ドッグ」を「プレッツェル・ソーセージ」とするよう依頼した。
犬を何匹かペットとして飼っている、ある中国系マレーシア人は、マレーシアは多文化国家なので、中国人が犬を十二支の動物としている事実を無視し、企業がこのように犬を扱うのは残念だと反発する。全ての十二支の動物はそれぞれ良い属性を持っており、犬はガイド、忠実な友人、癒しを与えてくれる存在と語った。
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