米ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが科学誌サイエンスに発表した情報によると、「Cancer Seek(がん探査)」と呼ばれる血液検査で、がんの発症とともに起こることが多い16種類の遺伝子の突然変異を探知し、8種類のタンパク質の放出について調べることができるという。今回の臨床試験に参加したのは1005名で、卵巣や肝臓、胃、すい臓、結腸、肺、乳房にがんはあるものの、転移まではしていない患者だ。試験の結果、7割近くのがんを発見することができたという。
今回検査された8種類のうち、卵巣、肝臓、胃、すい臓、結腸の5種類に関しては現在早期発見のスクリーニング検査がない。しかし今回の試験では7割以上で発見することができ、特に卵巣がんは98%の割合だった。がんは早期発見すればするほど治療の可能性が大きくなる。すい臓がんは早い段階では症状が現れないため発見が難しく、がんと診断された患者の5人に4人は1年以内に亡くなっている。
発表したジョンズ・ホプキンス大学の科学者は「これによりがんをスクリーニングする方法に革命が起き、数千名の命が救われるだろう。」と述べている。将来的にはこの血液検査は乳がんのマンモグラフィーや大腸内視鏡検査などを補完する役割になる見込みだ。同大学の腫瘍学・生物統計学の准教授であるクリスチャン・トマセッティー博士は今回の発見にわくわくしていると述べ、「遺伝子の突然変異とタンパク質の両方を見つけるのが今までと違うところであり、そのおかげでがんを見つけやすくしている。」と話す。
外部の専門家たちもこの結果に期待感を示している。ただ一部のがんはまだ精度が低いためさらなる研究が必要だろうとされている。また、仮にがんが見つかってもそれが直ちに命を脅かすものではない場合、進行を見守るよりも治療をする方が悪影響になることもあるため、発見後の対応についても議論されている。
血液検査は現在がんと診断されていない患者に対して臨床試験が行われている。
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