韓国観光公社(KTO)が22日に公表した統計数字によれば、韓国を訪問する中国人観光客の数は、昨年12月、前年同月対比で37.9%減となり、中韓両国が「高高度防衛ミサイルシステム(THAAD)」の韓国配備によって緊張した関係を改善することで一致した後にも、さほど回復していないことが判明した。
韓国は昨年、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する防衛のため、米軍の強力な「高高度防衛ミサイル(THAAD)」システムを国内に配備した。中国は、同システムを自国の安全保障を脅かすものと受け止めてこれに反発し、韓国への団体旅行ツアーを禁止するなど、韓国ビジネスに対する経済的報復措置を発動した。
近隣諸国への買い物で有名な中国人の韓国団体ツアーの禁止により、韓国を訪問する中国人旅行客の数は大きく減少し、韓国の旅行業界や小売業界に大きな打撃を与えることとなった。...
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韓国は昨年、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する防衛のため、米軍の強力な「高高度防衛ミサイル(THAAD)」システムを国内に配備した。中国は、同システムを自国の安全保障を脅かすものと受け止めてこれに反発し、韓国への団体旅行ツアーを禁止するなど、韓国ビジネスに対する経済的報復措置を発動した。
近隣諸国への買い物で有名な中国人の韓国団体ツアーの禁止により、韓国を訪問する中国人旅行客の数は大きく減少し、韓国の旅行業界や小売業界に大きな打撃を与えることとなった。その後昨年10月に、両国は関係を改善していくことで合意し、中国は一部の団体ツアーの制限を解除したと見られていた。
しかし、KTOの22日の発表によれば、12月の韓国への中国人旅行者の数は、合計33万2,474人となり、前年同月対比37.9%の減となった。これは11月の42.1%の減、10月の49.3%の減から少し回復しただけだ。2017年全体では、420万人の中国人が韓国を訪問しているが、一昨年から48.3%減と大きく減少している。
韓国を昨年訪問した外国人旅行客は、合計1,330万人で22.7%減少した。KTOは、北朝鮮の核問題と、中国とのTHAAD配備を巡る外交問題が主な原因と説明している。中国人旅行者の減少の影響は確かに大きいが、それを危機と感じた韓国当局が、旅行者のマーケットを見直して中国依存体制からの脱却を図っており、中国人以外の旅行客の数は、920万人とさほど変わらなかった。東南アジアや中央アジアなどからの旅行客は逆に急増しており、ベトナム、モンゴル、カザフスタンが30%増、台湾が11%増、ロシアが15%増だった。
中国は韓国の最大の貿易相手国であり、THAADを巡る外交問題が、韓国企業に大きな損失をもたらした。特にロッテグループはTHAAD配備に便宜を図ったとして、中国の当局によるボイコットや、法規制による取り締まりの対象となり、中国でのビジネスに大きな打撃を受け、同国内のスーパーマーケット事業から撤退する事態に追い込まれている。
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