米航空宇宙局(NASA)及び米海洋大気庁(NOAA)はこの程、2017年の世界気温が史上最高値を記録した2016年を上回ることはなかったが、気温上昇をもたらす原因のひとつとされたエル・ニーニョ現象(注1後記)の発生のない年としては史上最高であったと発表した。
1月18日付米
『AP通信』:「2017年にエル・ニーニョ現象は発生しなかったものの、世界気温は高めで推移」
NASA及びNOAAは1月18日、2017年の世界気温は、史上最高だった2016年を上回ることはなかったものの、エル・ニーニョ現象が発生しなかった年の中では最高気温であったと発表した。
NOAAが公表したデータによると、2017年の世界平均気温は華氏58.51度(摂氏14.7度)で、2015年・2016年の数値より低かったものの、20世紀の平均気温より華氏1.51度(摂氏0.84度)高かったという。...
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1月18日付米
『AP通信』:「2017年にエル・ニーニョ現象は発生しなかったものの、世界気温は高めで推移」
NASA及びNOAAは1月18日、2017年の世界気温は、史上最高だった2016年を上回ることはなかったものの、エル・ニーニョ現象が発生しなかった年の中では最高気温であったと発表した。
NOAAが公表したデータによると、2017年の世界平均気温は華氏58.51度(摂氏14.7度)で、2015年・2016年の数値より低かったものの、20世紀の平均気温より華氏1.51度(摂氏0.84度)高かったという。
また、気温上昇をもたらす原因のひとつとされるエル・ニーニョ現象が、2015・2016年は特に激しかったため両年の世界気温を押し上げたと理解されるが、2017年には同現象は発生していなかった。
NASAのガビン・シュミット主任気候科学者(注2後記)は、過去の世界気温データから、エル・ニーニョ現象による高温現象を取り除くと、2017年が史上最高気温となるとする。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「NASA-2017年の世界気温は高い結果だったと発表」
NASAによれば、2017年の世界気温は、史上最高だった2016年に続いて高い結果となったと発表した。一方、NOAAのデータでは、2017年は2016年・2015年に続いて3番目に高かったとしている。
いずれにしても、米政府気候科学者の分析では、地球上の気温は依然上昇傾向にあるという。
NASAのシュミット氏によれば、データの採り方によって2番目、3番目との違いとなることはさして問題ではなく、むしろ世界気温が引き続き上昇傾向にあり、しかも産業革命以前と比較して摂氏1度以上上がっていることが重要な問題であるという。
なお、1880年から取り出したデータよりみて、エル・ニーニョ現象が特に激しかった理由もあって、2016年が史上最高の世界平均気温となっている。
また、同日付英『ジ・インディペンデント』紙:「2017年の世界気温は依然高い数値を示す」
英国気象庁及び英国立イースト・アングリア大気候研究科は1月18日、速報値ではあるが、2017年の世界気温が史上3番目に高く、また、エル・ニーニョ現象が発生しなかった年のうちでは最高気温であったと発表した。
それによると、2017年の気温は産業革命以前と比較して約摂氏1度高く、また、1981~2010年の平均気温より摂氏0.4度高いという。
米国のNASA、NOAAも同じ日に同様の発表を行っている。
英国気象庁のコリン・モリス博士は、2017年が直近3年間の高気温現象に入っていること、また、エル・ニーニョ現象が発生しなかった年としては、1850年以来最も気温が高い結果となっている点について、米他機関と分析結果は同じであるとコメントした。
(注1)エル・ニーニョ現象:ペルー沖赤道付近の中部太平洋海域で見られる気候変動現象で、数年に1度、春から冬にかけて発生。熱帯太平洋の東部で海面水温が平年より高く、西部で海面水温が低くなり、この水温の変化によって、通常は熱帯太平洋の西部で活発な対流活動が東に移動し、インドネシアや南米の北部では平年より雨が少なく暖かくなる。また、熱帯からの大気の変動を通して、日本では冷夏、暖冬となる。
(注2)気候科学者:気候を取り扱う自然科学の一分野で、気象学と近い内容を持つが、気象学と異なり、人間活動の影響を考えることで自然地理学を研究していこうとする専門家。
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