オーストラリアで18日、高波にさらわれた少年2人がドローンによる救助活動により無事救出された。ドローンによる水難救助はおそらく世界で初めてとして、多くのメディアがドローンのカメラが撮影した映像を紹介し、救助の模様を報じている。
18日、2人のオーストラリア人の10代の少年が、東部ニューサウスウェールズ州沿岸のレノックスヘッド沖合で遊泳中に、3メートルもの高波にさらわれた。ビーチにいた目撃者がライフセイバーらに通報し、まもなくドローンの操縦士が、救命具を装備したドローンを現場の海域へと急行させた。ドローンは現場に到着すると、つかまって浮いていることができるフロートのような救命具を投下し、2人はその後無事に岸に生還することができた。やや疲労はあるものの、怪我はないという。
ライフセイバーの監督者であるジェイ・シェリダン氏は、地元メディアに状況を説明し、「私はドローンを発進させ、現場に飛ばし、約1-2分で救命具を落とすことができた。通常、我々のライフセイバーが現場に到着するには、さらに数分の時間を要する。」「ドローンは今日、確かにその能力を証明した。驚くほどに効率的な救命装置だ。」と語った。
オーストラリアは洋上の救命活動技術において世界をリードしており、多数のドローンを用いて、同国内のビーチで実用試験飛行を行っている。ニューサウスウェールズ州でも43万豪ドル(約3,800万円)をドローン関連に投資しているという。ドローンは、今回のケースのように、サーフボードや救命ボートなどを用いるライフセイバーの伝統的な技術よりも早く、窮地に陥っているスイマーらを見つけ出し、救命具を運ぶことができるが、それに加えて、鮫やクラゲなどの海中の危険生物を見つけ出すことにも使われ始めている。
ドローンのカメラで撮影された大量の映像を用いて、海洋生物などを認識するアルゴリズムを構築し、AI(人工知能)の開発が進められている。そのソフトウェアは、鮫などの生物を90%以上の正確性で識別することができる。ちなみに肉眼では、16%程度の正確性でしか識別できない。
オーストラリアのビーチの中には、鮫の侵入防止ネットを備えたところもあるが、政府はソナー(水中音波)技術の使用や、航空機によるパトロールなどの代替措置への順次移行を求めている。調査によれば、ネットでは他の手段ほど安全が保障されないばかりでなく、海洋生物に重大な危害をもたらす危険性があるとされている。
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