これまで何度か触れたとおり、習近平(シー・チンピン)政権は、東・南シナ海域制圧に向け、新規中型輸送機・新型誘導ミサイル搭載フリゲート艦をそれぞれ配備し、更に、海上偵察部隊を強化している。そして今度は、国産最新鋭の水中グライダー(注後記)を駆使して、海中における監視行動も強化しようとしている。中国側は、天然資源や水産資源の調査に有効だとしているが、空と海から不審船・潜水艦等を見張ることが大きな目的と考えられる。
1月3日付米
『ニューズウィーク』誌:「中国、最新鋭の水中偵察ネットワークで米艦を追跡可能に」
今週の香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュースによると、中国はこの程、西太平洋からインド洋にかけて、不審な潜水艦等をすぐさま把握できる最新鋭の水中監視システムを構築したという。
同システムは、中国科学院(CAS)傘下の南シナ海海洋研究所が構築したもので、ブイ・水上艦艇・水中グライダー等を駆使して、海水温や塩分濃度などあらゆる精緻データを即座に情報解析センターに送信することができる。...
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1月3日付米
『ニューズウィーク』誌:「中国、最新鋭の水中偵察ネットワークで米艦を追跡可能に」
今週の香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュースによると、中国はこの程、西太平洋からインド洋にかけて、不審な潜水艦等をすぐさま把握できる最新鋭の水中監視システムを構築したという。
同システムは、中国科学院(CAS)傘下の南シナ海海洋研究所が構築したもので、ブイ・水上艦艇・水中グライダー等を駆使して、海水温や塩分濃度などあらゆる精緻データを即座に情報解析センターに送信することができる。これによって、如何なる目標物の把握・追尾も可能となるとする。
ただ、同研究所の兪永強(ユ・ヨンチアン)研究員は、中国のシステムはまだ米国のそれに遥かに及ばないとコメントしている。
なお、米国のシステムに関しては、2016年12月にフィリピン沖の公海で米国製水中グライダーが中国軍によって捕捉された際、ドナルド・トランプ氏(当時は大統領就任前)が、中国が米海軍の無人調査航行体を盗んだとツイートして物議を醸している。
1月5日付中国
『人民日報』:「中国製水中グライダーがインド洋、南シナ海での海中調査ミッションを完了」
『新華社通信』は1月4日、CAS所属の研究所が進めた水中グライダー“海翼(ハイイー)”によるインド洋及び南シナ海における海洋観測のミッションが完了したと報じた。
“海翼”は、2017年10月から南シナ海で1,880キロメーターの最長距離を観測航行した後、12月11日から今年の1月2日まで、インド洋にて705キロメーターにわたり観測した。
CASの兪研究員は、今回の観測で気候変動が海洋に与える影響等を調査することができたとコメントした。
一方、国家南シナ海研究所の陳翔苗(チェン・シャンミャオ)研究員は
『環球時報』のインタビューに答えて、今回の調査結果は透明性を以て公表されるとした上で、あくまで科学的調査であって軍事用に使われることはないので、インドや南シナ海周辺国は余計な懸念を抱く必要はないと語った。
(注)水中グライダー:海洋における時空間的な大規模観測を行うために開発された自律式航行体。エンジンやプロペラなどの動力はなく、グライダー内部の電池等を前後左右に動かし、重心の位置を変えて水中の姿勢を上下左右に傾けることで前進。速さは1ノット(毎時1.9キロメーター)程度。海面から、指定された深度までの航行観測(環境調査、石油・天然ガス等探査、防衛監視等)を最長2ヵ月間にわたって行う。翼などがないため、網などに絡まって壊れることがない。
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