トランプ米大統領は11日、米航空宇宙局(NASA)に対し月面探査拠点の設置を指示する大統領令に署名した。米国から再び宇宙飛行士を月に派遣し、将来的には月面基地からの有人飛行による火星探査を目指す。
トランプ大統領は「宇宙政策指示1(Speace Policy Dirctive 1)」と呼ばれる指示書に署名し、ホワイトハウスで行われた式典で、「これは長期間にわたる探査や利用のためのもので、米人宇宙飛行士を1972年以来月に再び送る最初の一歩となる。」「今回はただ星条旗を立て、我々の足跡を残すだけではない。やがてくる火星への任務、そして恐らくいつかやってくる、その先の多くの世界へ向かう任務のための拠点を築く。」と述べた。
署名式には、ペンス副大統領や、最初に月面着陸を果たしたアポロ11号の乗組員の1人のバズ・オルドリン氏、最後の月面探査の任務を果たしたアポロ17号の乗組員の1人のハリソン・シュミット氏、宇宙で665日の長期滞在をしたペギー・ホイットソン現飛行士らも出席した。
大統領令は、アポロ17号の月面着陸から45周年を迎える日に署名された。それは民間会社や他の国々との協力関係を求めるものだが、月面探査の時期や、かかる費用については触れられていなかった。これらの詳細については、トランプ政権が2019年度予算の提案を行う2月に明らかになる可能性がある。
ペンス副大統領は10月、連邦省庁間の宇宙政策を調整するホワイトハウスの諮問機関、国家宇宙会議の初会合で、同様の声明を発表していた。今回のトランプ大統領の指示は、同会議の提言を受け、基本的には2004年にジョージ・W・ブッシュ元大統領が打ち出した目標を復活させたものである。この目標に沿ったNASAの「コンステレーション計画」では、2020年までに宇宙飛行士を再び月に送ることとしていたが、計画の大幅な遅れや予算面の問題などから、2010年にオバマ前大統領が一旦これを白紙に戻し、NASAに対しては、2020年代に小惑星、2030年代に火星に到達することに集中するよう命じていた。
NASAが開発中の「スペース・ローンチ・システム」と呼ばれる新しい大型打ち上げロケットが、月への旅の中核をなす装備として機能する予定だ。しかし同ロケットの最初の無人飛行による試験は2019年ないし20年まで行われず、宇宙飛行士を乗せた有人飛行はさらに数年後と見られている。
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