スイス連邦核安全監督局(IFSN)が20日明らかにした情報によると、スイス北部にあるライプシュタット原子力発電所が燃料製造部品の一部が仕様と異なっていることを報告したという。またアレヴァも声明を発表し、問題の部品は以前フランスのパンブフで製造した燃料棒を収めるために使用されるジルコニウム燃料被覆管だとした。製造した際に燃料漏れした被覆管が発見されたことに伴う確認試験で弾かれる予定だった一部の被覆管が電力会社へ渡ってしまったという。
今回スイスの発電所で発見されたのは定期保守点検で運転が停止されている時だった。アレヴァは稼働に問題はないとしているが、同発電所は年末まで稼働を停止し、問題の部品は安全上の理由で交換されるという。また、不具合のある被覆管は計6本で、これは発電所で使用中の被覆管の1%に足らずで実際に被害報告も出ていないという。
ロイターによると、アレヴァは今回の件に関して、すでに関わった電力会社には伝えてあるとしたものの、具体的に社名を明らかにすることは極秘であるとして拒否した。また、アレヴァの主な取引企業であるフランス電力(EDF)が関わっているかどうかも明らかにしなかった。EDFはここ2年で、アレヴァ傘下のクルーゾー・フォージ社が起こした製造上の欠陥が原因で、数カ所の原子炉を閉鎖することを余儀なくされている。
スイスでは原子力エネルギーの安全性について政治的にも議論が巻き起こっており、今年5月には国民投票が行われた。その結果、再生可能エネルギーへ切り替えていくことで国のシステムを見直す案が賛成多数となっている。
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