11月14日に放送された、リビアでの奴隷売買を示すCNNの映像は、世界を驚かせた。映像はソーシャルメディア上で広く共有され、フランスで抗議デモが起きるなど世界中から憤りの声が上がっている。しかし、これは何もリビアに限られた出来事ではない。世界の様々な国で、「奴隷」として働かされている人々がいる実態を、英仏メディアが伝えている。
国連の国際労働機関(ILO)と国際NGOのウォーク・フリー・ファンデーション(WFF)がまとめた報告書
『2016 Global Slavery Index』によると、世界で「現代の奴隷」状態にある人の数は、成人と子どもを合わせると4580万人に及ぶ。この数字はあくまで「推定」であるため、実際の「奴隷」の数はこれより更に多いものと考えられている。
全世界の奴隷状態に置かれている4580万人のうち62%はアジア太平洋地域が抱えており、次にアフリカ(23%)、ヨーロッパと中央アジア(9%)、アメリカ(5%)、湾岸諸国(1%)となっている。...
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国連の国際労働機関(ILO)と国際NGOのウォーク・フリー・ファンデーション(WFF)がまとめた報告書
『2016 Global Slavery Index』によると、世界で「現代の奴隷」状態にある人の数は、成人と子どもを合わせると4580万人に及ぶ。この数字はあくまで「推定」であるため、実際の「奴隷」の数はこれより更に多いものと考えられている。
全世界の奴隷状態に置かれている4580万人のうち62%はアジア太平洋地域が抱えており、次にアフリカ(23%)、ヨーロッパと中央アジア(9%)、アメリカ(5%)、湾岸諸国(1%)となっている。 ただしアラブ諸国や米州など数字の把握が困難な地域もあり、状況は完全には把握できていない。
最も多くの「奴隷」を抱えている国ランキングでは、1位がインド、推計で1800万人。2位中国 339万人、3位パキスタン 213万人、4位バングラデシュ 153万人、 5位ウズベキスタン124万人。1位のインドは、強制労働、児童労働、売春、強制物乞い、強制結婚(インドの女性の半数以上は18歳以前に結婚する)など様々な形態の現代の奴隷制に直面している。
なお、全人口に占める「奴隷」の割合は、北朝鮮が4.4%で1位、次いでウズベキスタン4%、カンボジア1.6%、インド1.4%、カタール1.4%と続いている。日本では「現代の奴隷」とされる人の数は推定29万200人、人口比で0.228%、24位のイエメン(約30万人)と26位のシリア(26万人)の間、25位にランクインしている。
また、報告書によると、女性や少女が最も奴隷被害者となりやすく、全体の71%を占めている。そして「現代の奴隷」の4人に1人は子供とされている。
報告書で定義する現代の奴隷には、脅しや暴力、強制などによって拒むことや辞めることができない状況で働かされる強制労働や借金による束縛、結婚強要、人身売買などが含まれる。
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