インドは、総人口はもとより、経済・軍事力でもやがて米・中を追随する国とみられている。そこで、イランと提携することで、米国による対イラン制裁が強化されようと、また、中国・パキスタンの連携で阻まれようと、アフガニスタン含めた中央アジア諸国との通商等を発展させるべく画策している。一方、中国との国境紛争再発に備えて、国産巡航ミサイルの発射実験を推進する等、軍事強化にも努めている。
11月6日付米
『ロイター通信米国版』:「インド、敵対国を経ずしてアフガニスタンへ続くルートを確保するためイランの港湾開拓」
インド政府関係者によると、インドは目下、イラン南東端のチャーバハール港を増強して、地政学的に妨げとなっている敵対国パキスタンを経ずして、アフガニスタンや中央アジアへのルートを確保すべく、イラン政府と協議を進めているという。
目下の計画では、同港に5億ドル(約565億円)を拠出して荷揚げクレーン設置を含め二つの埠頭を設営し、インド国営のインド・グローバル・ポート社を中心として操業を推進する意向である。...
全部読む
11月6日付米
『ロイター通信米国版』:「インド、敵対国を経ずしてアフガニスタンへ続くルートを確保するためイランの港湾開拓」
インド政府関係者によると、インドは目下、イラン南東端のチャーバハール港を増強して、地政学的に妨げとなっている敵対国パキスタンを経ずして、アフガニスタンや中央アジアへのルートを確保すべく、イラン政府と協議を進めているという。
目下の計画では、同港に5億ドル(約565億円)を拠出して荷揚げクレーン設置を含め二つの埠頭を設営し、インド国営のインド・グローバル・ポート社を中心として操業を推進する意向である。具体的には、インド産小麦をアフガニスタン方面に輸出するルートを確保すべく、トライアルとしての第1船の貨物が先週同港に到着しており、来年1月までに更に6船手配する計画であるという。
イラン駐在インド大使のサウラブ・クマール氏は、プロジェクトは計画通り順調に進んでいると語った。
インドはかつて、欧米の対イラン経済制裁に同調して、原油の主要供給国であるイランからの輸入量を大幅に削減していた。しかし、目下トランプ大統領がイラン核合意の離脱を言い出しているものの、米国政府内において、インドによるイランとの提携推進について直接的な異論は出されていない。むしろ、インドがアフガニスタンへの経済・安全保障面での援助を強化することで、同国の安定に寄与していくことを望んでいるとみられる。
一方、同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「インド、5度目の国産巡航ミサイル発射実験を計画」
インド国営の国防研究開発公社(DRDO、1958年設立)によると、国産巡航ミサイル“ニアーブヘイ”(編注;速度マッハ0.8~0.9、巡航距離1,000~1,500キロメーター)の発射実験を近日中に実施するという。
過去5年間で5度目の発射実験となるが、直近2回は失敗に終わっていた。特に、2016年12月の実験では、エンジンの推進力が失われ、コントロール装置もうまく作動しなかった。
インド政府は2010年、3年間に限定しての国産ミサイル開発計画を認可していたが、その後期限を新たに2018年6月まで延長するだけでなく、拠出額の増額も決定している。そして、連続して失敗しているにも拘らず、国防省は、同期限内での本格開発を目指すとしている。
なお、同ミサイルは米国の“トマホーク”対地攻撃ミサイルに比べられていて、巡航距離1,000キロメーター、300キログラムの弾頭を装着できるとしている。
また、同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「中国、インド閣僚の中印紛争地域への訪問を非難」
中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は11月6日、インド政府閣僚が中印紛争地域であるアルナーチャル・プラデーシュ州(注後記)を訪問したことに対して、中印両国の紛争問題をより複雑化させる行為だとして強く抗議した。
インドのニアマーラ・シタラマン国防相は11月5日、同州を突然訪問した上、同地域に駐留するインド軍高官との写真をツイッターに投稿していた。
なお、中国は今年4月、インド政府がチベット族の精神的支柱であるダライ・ラマを支援すると決定したことに対して、中印両国関係に深刻な影響を与えるものとして非難している。
(注)アルナーチャル・プラデーシュ州:インド名。ブータン東側の地域で、インドが実効支配。なお、中印両軍兵士が、6月中旬から長期に睨み合ったのは、ブータン西側のシッキム州。
閉じる