トランプ米大統領は20日、空軍のパイロット不足に対処するために、引退したパイロットを1,000人まで現役復帰させることを認める大統領令に署名した。ホワイトハウスと国防総省が同日明らかにした。
現在の法律では、空軍に復隊できるパイロットの数は25人に制限されている。大統領令は、2001年の9.11同時多発テロ事件の後にブッシュ元大統領(子)によって宣言された非常事態を拡大することにより、現役復帰させる人数の上限を撤廃するものである。
国防総省報道官のゲーリー・ロス海軍中佐は声明で、「国防長官は空軍長官に3年間に限り、最大1,000人の引退したパイロットを復隊させる権限を与える見込みだ。...
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現在の法律では、空軍に復隊できるパイロットの数は25人に制限されている。大統領令は、2001年の9.11同時多発テロ事件の後にブッシュ元大統領(子)によって宣言された非常事態を拡大することにより、現役復帰させる人数の上限を撤廃するものである。
国防総省報道官のゲーリー・ロス海軍中佐は声明で、「国防長官は空軍長官に3年間に限り、最大1,000人の引退したパイロットを復隊させる権限を与える見込みだ。」と述べ、「パイロットの供給不足は、これから何年にもわたり、政府および民間航空会社にあらゆる面で悪影響を及ぼしかねない国家レベルの課題である。」と指摘した。
空軍は現在の人数より約1,500人多くのパイロットを必要としており、特別手当や他の奨励金等では不足を補えないという。共和党の重鎮ジョン・マケイン上院議員が6月、パイロット不足により、空軍は任務を果たせないほど危機的な状況に陥っていると警告していた。上院軍事委員会委員長のマケイン議員は、「これは本格的な危機だ。解決せずに放置すれば、空軍が任務を果たす能力にも疑問の声がわくことになる。」と当時述べている。
専門家によれば、空軍のパイロット不足の理由は幾つかあるが、民間航空会社との競争で引き抜かれることも多いこと、需要を満たすほど養成が追い付かず、そのための資金も不足していること、軍事行動のための航空機や乗組員の需要は予想以上に高まっていること等が挙げられている。空軍はISに対する国防総省の戦いの最前線として、2014年以来イラクやシリアでの戦闘に赴いており、長期にわたる海外派遣による負担も大きい。
議会では、リンゼー・グラハム共和党上院議員等の軍事委員会の他の委員も、ISやアルカイダ関連のテロリストとの戦いが拡大したことを指摘している。グラハム議員は、オバマ前大統領の下でのテロに対する規則は、制限的過ぎて効果がなかったと批判している。
先月、トランプ大統領は9.11後の非常事態を延長した3人目の大統領となった。非常事態下では、大統領に兵の動員、士官の採用や解雇、引退の延期等の権限を与えている。臨時の権限であるが、16年経過した今も、非常事態に対する議会の監視等のチェックはない。
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