キューバのブルーノ・ロドリゲス・パリージャ外相は22日、国連総会で演説し、同国の首都ハバナの米国大使館に勤務する外交官らが、健康を害する音響攻撃を受けたとする米側の主張について、今のところ原因を裏付ける証拠は何も見つかっていないと説明した。
ハバナに駐在する外交官やその家族、大使館関係者について、少なくとも21名の米国人と数名のカナダ人が、昨年から今年の8月までに、謎の音響装置による攻撃を受けて脳の損傷や難聴等の症状を患っていると訴えた。米国人の中には聴力の喪失や脳震盪のような重い症状の人から、頭痛や吐き気、耳鳴りを感じたり、物事に集中できないとか、言葉が思い出せなかったりする等の比較的軽い症状の人までいる。
キューバは本件については関知していない立場を貫いており、ロドリゲス外相は22日の演説で、調査は継続中としながらも、再度同国の関与を否定した。...
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ハバナに駐在する外交官やその家族、大使館関係者について、少なくとも21名の米国人と数名のカナダ人が、昨年から今年の8月までに、謎の音響装置による攻撃を受けて脳の損傷や難聴等の症状を患っていると訴えた。米国人の中には聴力の喪失や脳震盪のような重い症状の人から、頭痛や吐き気、耳鳴りを感じたり、物事に集中できないとか、言葉が思い出せなかったりする等の比較的軽い症状の人までいる。
キューバは本件については関知していない立場を貫いており、ロドリゲス外相は22日の演説で、調査は継続中としながらも、再度同国の関与を否定した。「この問題を明らかにするための調査は継続する。そして結論に至るためには、米当局の協力が非常に重要だ。」「この種の問題が政治利用されるのであれば、遺憾なことである。」と述べた。
レックス・ティラーソン米国務長官は、本件を「健康攻撃」と表現し、17日に、ハバナの米国大使館の閉鎖も検討していると明らかにした。米国務省は今回のロドリゲス外相の発言についてすぐに反応していないが、先週、同省のヘザー・ナウアート報道官は、米国は独自に精力的な調査を行っているとしていた。しかし、その詳細は明らかにされていない。
米国政府は本件を巡り、キューバ政府に対し、他国の外交官らの安全を守る国際的責任があると何度も訴え、今年5月には、ワシントンのキューバ大使館に勤務していた外交官2名を国外追放の処分にしている。
米国とキューバは、1959年のキューバ革命以来の仇敵であったが、2014年に関係改善を図り、翌年に相互の大使館を再開し、渡航や通商の制限を緩和している。しかしトランプ大統領は就任以来、一部の動きを逆転させ、今夏米国人のキューバへの渡航を新たに制限し、キューバの旅行業界を支配している軍事関連企業への資金の流れを断つ等の措置を取った。
トランプ大統領は、19日の自身の国連総会での演説の中で、キューバ政権を「腐敗し、そして国家を不安定化する」と酷評した。政治犯の釈放や自由選挙の実施等、一連の内部改革を行わない限り、それらの措置は解除しないとしている。
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