米SNS大手のフェイスブックは21日、2016年の大統領選挙運動中に掲載された秘密広告を巡り、今後有料政治広告の扱いを見直すと発表した。同社はまた、選挙期間中とその後にロシアの関係者によって掲載されたと思われる約3,000件の政治広告に関する情報を、議会の調査団に提供することも併せて明らかにした。
米国では、ロシアがSNSを使用して、昨年の大統領選に介入した疑惑の調査が行われており、フェイスブックは対応が不十分であると批判されていた。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は、政府機関による他国の選挙への介入を防止する施策として、フェイスブック上のいかなる政治広告も、その対象が誰であるかに関わらず、誰もが参照可能とすることとし、オンライン政治広告における透明性に関する新しい基準を、他者とも協力して策定すると述べた。また250人の要員の採用やシステム対応によるチェック強化、世界の選挙委員会との連携、広告費の出所開示等の他の施策についても、取り組むこととしている。
同社は今月初旬、ロシアから操作されたと思われる多くの偽アカウントが、大統領選挙前後の数カ月間に、銃規制や人種関連等、社会の分断を狙うメッセージを発する約3,000の広告を掲載し、約10万ドルの広告料を支払ったことを明らかにしていた。
米国議会の調査団とロバート・モラー特別検察官は、ロシアによる介入があったのかを調査しており、ロシアは疑惑を否定している。調査団は他社にも対応を求めており、上院情報委員会は来週ツイッターとの会合を予定している。下院情報委員会の民主党筆頭委員であるアダム・シフ議員は21日、フェイスブック、グーグル、ツイッター等の会社を公聴会に招き、聴取を行う意向を示した。
フェイスブックは、広告対象を絞って提供しやすく、コストも安いので、政治広告については最も使用されているサービスだ。上院では、100万人以上のユーザーを持つサービスにつき、1万ドル以上を投じた者により購入された全ての選挙関連広告のデータの提出を可能にしておくよう、サービス提供業者に求める法案等の規制が検討されている。
同社は従来、広告の詳細情報は、掲載者が開示しない限り機密の情報であり、裁判所による命令等の法的手続が無ければ、いかなるユーザー情報の提出も拒む姿勢を堅持していきたが、今回その方針を大きく変えたことになる。
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