9月18日現在の世論調査の平均では、キリスト教民主同盟・バイエルン・キリスト教社会同盟(CDU/CSU)36.2%、社会民主党(SPD)22.1%、ドイツのための選択肢(AfD)10.5%、左翼党(Die Linke)9.8%、自由民主党(FDP)9.4%、緑の党(Grunen)7.7%の支持率となっている。独連邦議会は比例代表制を主に小選挙区制の要素を加えた、小選挙区比例代表併用制を採用している。メルケル独首相率いるCDUは単独政権に必要な議席を確保するのが難しいとされており、いくつかの連立政権の組み合わせが予想されている。最も可能性が高いのがSPDと大連立政権を組むことでその場合、AfDは野党第1党になる可能性もある。
AfDは当初、欧州債務危機でギリシャ等の経済の厳しい南部諸国の救済措置に反対し、反EU、反ユーロを公約に掲げ2013年4月に設立された.同年9月の独連邦議会選挙に候補者を立候補させたが議席を得るために必要な5%を獲得できなかった。しかし4.7%の支持を獲得して存在感を示した。2005年以降CDUを中道寄りに修正したメルケル首相への批判の受け皿にもなったとされる。その後AfDは反移民とイ反スラム問題に焦点を変えた。このことでAfDの最初の党首は2015年に辞任した。2015年に欧州の難民問題がピークを迎えたことで、多民族主義に人々は疑念を抱き、AfDは支持を拡大した。
AfDは今回の選挙で民族主義的な感情、少数派への嫌悪感を呼び起こす大胆で挑発的な広告キャンペーンを行っている。ある広告では子豚の写真と共に「イスラム?それは私たちの料理に合いません。」と、イスラム教徒が豚肉を食べないことを攻撃している。別の広告では女性のビーチでの水着写真に「ブルカ?私たちはビキニが好きです。」とし、イスラム女性のブルカを攻撃している。更に別の広告では花畑でピクニック中のシートに横たわる妊娠中の白人女性が、笑顔で「新しいドイツ人?私たちは自分たちで作ります。」とし、ナチス時代を髣髴とさせるアーリア人が支配民族となることを想起させる広告を出している。
フェイスブックの広告では、血まみれのトラックのタイヤをモチーフに、最近起きたヨーロッパのテロ攻撃の日付とともに「ヨーロッパの首相が残した軌跡」とし、車を使って行われたテロ攻撃に絡めメルケル独首相の移民政策を批判している。
インターネット分析会社のNewswhipは、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアに対して今回の選挙でAfDがもっと高く関与していると分析している。これらの広告戦略はトランプ米大統領の選挙にも関与した米国のハリス・メディアによって推進されている。
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