英政府は26日、2040年からガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると発表した。大気汚染対策の一環として、電気自動車への移行を目指す。モーターとガソリンまたはディーゼルエンジンを組み合わせたハイブリッド車の販売も2040年までに終了するという。現地有力紙等、英国メディアが報じた。
マイケル・ゴーブ環境相は26日、2040年からガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する政府の方針を正式に発表した。同国の包括的な環境対策の一環であり、深刻な大気汚染の改善を目的とする。ゴーブ環境相は、「新しい技術を採用する以外に方法はない。」として、「健康問題への対応と温暖化対策の目標達成のため、ディーゼル車、ガソリン車を排除する必要がある」とBBC放送のインタビューで述べた。
フランス政府も今月、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を発表しており、ノルウェーやインドも同様の対策を取ることを明らかにしている。...
全部読む
マイケル・ゴーブ環境相は26日、2040年からガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する政府の方針を正式に発表した。同国の包括的な環境対策の一環であり、深刻な大気汚染の改善を目的とする。ゴーブ環境相は、「新しい技術を採用する以外に方法はない。」として、「健康問題への対応と温暖化対策の目標達成のため、ディーゼル車、ガソリン車を排除する必要がある」とBBC放送のインタビューで述べた。
フランス政府も今月、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を発表しており、ノルウェーやインドも同様の対策を取ることを明らかにしている。また欧米では、パリ、マドリッド、メキシコシティ、アテネの市長らが、2025年までにディーゼル車の市街乗り入れを禁止するとしており、今後各国の環境政策に影響をもたらしそうだ。
英国の場合、市民グループによって提起された訴訟に政府が敗訴するなど、環境汚染対策は訴訟問題となっており、政府は裁判所から7月末までに対策を示すよう命じられていた。英国の大気汚染は深刻で、年間40,000人の死亡原因が大気汚染に関連したものとされており、また温室効果ガス排出量の大半は、自動車などの交通手段によるものと言われる。英国政府は大気汚染対策として、30億ポンド(約4,350億円)の予算を用意しており、ディーゼル車による大気汚染に対処する地方自治体を支援するために2億ポンド(約290億円)を確保しているという。テリーザ・メイ首相率いる保守党政権は、2050年までに全ての乗用車やバンのガス排出量をゼロにするとの目標を掲げている。
欧州の自動車メーカーも、ガソリンやディーゼルによる大気汚染に取り組むために、電気自動車の生産に力を入れており、ルノー・日産は2009年に電気自動車の開発に40億ユーロ(約5,200億円)を投資するとし、BMWも最近Miniの電気自動車版の構想を発表した。ボルボもクリーンエネルギー車への移行を目指している。しかしながら、電気自動車への移行には課題もある。英国では、現在電気自動車の新車登録は5%以下しかないが、ドライバーは価格が高いことや充電場所が少ないことを気にして電気自動車を購入しようとしない。自動車メーカーにとっても多大な設備投資が必要だ。ガソリン車やディーゼル車の生産を前提に、そこで働いてきた労働者の雇用情勢にも大きく影響すると思われる。
野党である労働党や自由民主党は、それぞれ政府の対策を批判している。労働党は、エド・ミリバンド元党首が、大気汚染を緩和する措置は今すぐにでも必要であるのに、それを隠す「煙幕」と今回の方針を酷評した。また自由民主党も、交通問題を担当するジェニー・ランダーソン氏が、「(今回の方針は)僅少すぎ、しかも遅すぎる。」と批判した。
閉じる