トランプ米大統領は19日、共和党の上院議員をホワイトハウスに招いて昼食会を行い、「オバマケア」を撤廃し代替法案を策定するまではワシントンを離れるべきではないとして、議員たちに夏休みを返上して本件に取り組むよう、発破をかけた。多くの米国メディアが報じている。
トランプ大統領は、オバマ前大統領が推進した健康保険改革法案「オバマケア」については、撤廃して見直すことを選挙公約に掲げていたが、先週の共和党議員の法案審議に対しては、不干渉の立場を貫いていた。しかし、今週初めに議論が暗礁に乗り上げると、19日には方針を変え、49名の共和党上院議員らホワイトハウスでの昼食会に招いて会談した。
トランプ大統領は、「我々は非常に近いところまで来ている。」「7年間にわたり、あなたたちはオバマケアの撤廃を国民に約束し続けてきた。...
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トランプ大統領は、オバマ前大統領が推進した健康保険改革法案「オバマケア」については、撤廃して見直すことを選挙公約に掲げていたが、先週の共和党議員の法案審議に対しては、不干渉の立場を貫いていた。しかし、今週初めに議論が暗礁に乗り上げると、19日には方針を変え、49名の共和党上院議員らホワイトハウスでの昼食会に招いて会談した。
トランプ大統領は、「我々は非常に近いところまで来ている。」「7年間にわたり、あなたたちはオバマケアの撤廃を国民に約束し続けてきた。人々は傷ついており、何もしない選択肢はない。」と述べ、「代替法案の審議の開始に反対する上院議員は、現在のオバマケアに賛成しているようなものだ。」と党内合意に至らない現状を叱責した上で、「我々はオバマケアを撤廃できるが、撤廃して新たな法案に置き換えるべきだ。」と単なる撤廃では不十分である認識を示し、代替案に関して一致した方向が見出されるまでは、予定されている8月の議会休会期間中も、ワシントンに留まるよう要求した。
共和党のミッチ・マコネル上院院内総務が示している、オバマケアを撤廃した上で、2年の猶予期間を設けて代替制度を作る法案は、2026年までに2,200万人もの米国人が健康保険を失うことになると、議会の予算局が20日に指摘した。マコネル氏は、来週撤廃のみの法案についての採決を行う意向を示していたが、既に3人の共和党上院議員がその方法には反対するとの立場を表明したため、現実的ではなくなっている。議会予算局は19日には、代替制度なくオバマケアの多くを廃止する法案とした場合には、3,200万人以上の米国人が2026年までに健康保険を失うとの試算も示していた。オバマケアの下では2,000万人が保険を持つのとは対照的だ。
共和党議員たちは、オバマケアは健康保険に関するコストを大幅に増加させると反対しているが、対案の考え方については、何百万人もの低所得者層の米国人から保険を奪うこれまでの法案に懸念を持つ穏健派と、さらに大きな費用の削減を求める保守派に分断されている。同党の上院議員らは、オバマケアの下で拡大された、政府の低所得者層対象の健康保険プログラムである「メディケイド」を変更する案をさらに検討するなどしているが、両派が納得する法案の策定に向けて、すぐに事態を打開することは難しい状況になっている。26日には、ジョン・マケイン上院議員が重度の脳腫瘍であるというニュースが報じられ、共和党の上院での法案採決をめぐる状況も不透明で複雑なものになった。上院は52対48という与野党伯仲の状況だからだ。
民主党議員たちは、共和党議員の法案に反対することで一致しており、共和党が19日以降も党内をまとめられそうにない状況にあるため、無駄な努力はやめるようにと攻撃に転じている。「議会は埒の開かない法案から、そろそろ進む方向を変えるべきだ。」と民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務は述べている。
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