米軍のポール・セルバ統合参謀本部副議長は18日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、北朝鮮が今月4日に発射実験を行ったICBM(大陸間弾道ミサイル)について、「米国本土に届く可能性は十分にある」と危機感を表明し、北朝鮮のミサイルが十分な射程を持つことを認めたが、精度はまだ不十分であるとの見方を示した。
北朝鮮は今月4日、初めてICBMとする弾道ミサイルの発射実験を行い、朝鮮中央テレビが「特別重大放送」を当日放映し、成功したと発表した。ミサイルに核弾頭を搭載する技術も習得したとしている。ミサイルは約40分間、900㎞以上の距離を飛行し、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。最高高度は2,700㎞を越えた。
セルバ氏は米軍制服組のNo.2であり、今回2年間の任期で再度、統合参謀本部副議長に任命された。...
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北朝鮮は今月4日、初めてICBMとする弾道ミサイルの発射実験を行い、朝鮮中央テレビが「特別重大放送」を当日放映し、成功したと発表した。ミサイルに核弾頭を搭載する技術も習得したとしている。ミサイルは約40分間、900㎞以上の距離を飛行し、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。最高高度は2,700㎞を越えた。
セルバ氏は米軍制服組のNo.2であり、今回2年間の任期で再度、統合参謀本部副議長に任命された。セルバ副議長は、「基本的に、北朝鮮がICBMの開発能力を急速に進展させているという評価には同意する。」「(米国まで到達し得るという)射程の点では、明らかに能力を備えている。」と認めた。しかしながら、「まだ必要な誘導技術や制御の能力があることを実証していない。」と指摘し、米国を一定の精度と成功率で攻撃する能力はまだ持っていないため、今のところ現実的な脅威にはなっていないという判断を示した。
専門家は北朝鮮が、核弾頭が米国本土内の標的まで到達するのに必要な、大気圏再突入の技術をまだ有していないと考えている。またICBMの先端に搭載できるように、核弾頭を十分に小型化する能力も備えていないと評価している。しかし発射実験では、この新型のミサイルが、もし適切な軌道で発射されれば、アラスカには到達可能であることが確認された。ハワイ州まで到達可能という見方も出ている。ティラーソン米国務長官は今月初め、「ICBMの発射実験は、米国と我々の同盟国、周辺地域、そして世界に対する脅威が新たな段階へと高まったことを表している。」と警告した。
これまでの数回のミサイル発射実験と同様に、今回のICBMは移動式の発射台から発射されており、「米国の情報機関が北朝鮮の動きを検知しにくくなっていることに懸念を持っている。」とセルバ副議長は警戒感を表した。「米国の情報機関の実験を監視する能力は十分に信頼しているが、このようなミサイル・システムについては難しいと認識している。北朝鮮はミサイルの偽装や隠蔽が上手い。」と指摘した。
セルバ副議長は、米国は北朝鮮のICBMに核弾頭を搭載する能力を持たせないように、先制攻撃という軍事力行使の選択肢も検討しておくべきだが、それは大統領の政治的判断を必要とし、議会の同意が必要であると慎重な姿勢を示した。外交的解決を目指す努力が先であり、核兵器を持った北朝鮮は中国にとっても脅威となるとして、中国の協力が重要であると強調した。
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