フランスのマクロン大統領は21日、18日に総選挙で大勝したことを受けて内閣改造を実施した。連立を組んでいる中道政党「民主運動(Modem)」の出身閣僚が、欧州議会の資金を不正に使用した政治スキャンダル等があり、彼らは相次いで辞任を表明。当初は小幅の改造と思われていたが、一連の辞任騒動で予定より大規模なものとなり、政権発足後1カ月で4人の閣僚を交代させることとなった。
・法相(Justice)には、その日早く辞任したベテラン政治家フランソワ・バイル(Francois Bayrou)氏に代わり、これまでは比較的無名だった法学者のニコル・ベルべ(Nicole Bellobet)氏を任命した。
・国防相(Defense)には、シルビー・グラール(Sylvie Goulard)氏に代わり、フロランス・パルリ(Florence Parly)氏を任命した。以前は大手貿易会社等で働いていた鉄道会社幹部のビジネス・ウーマンで、やはりほぼ無名である。...
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・法相(Justice)には、その日早く辞任したベテラン政治家フランソワ・バイル(Francois Bayrou)氏に代わり、これまでは比較的無名だった法学者のニコル・ベルべ(Nicole Bellobet)氏を任命した。
・国防相(Defense)には、シルビー・グラール(Sylvie Goulard)氏に代わり、フロランス・パルリ(Florence Parly)氏を任命した。以前は大手貿易会社等で働いていた鉄道会社幹部のビジネス・ウーマンで、やはりほぼ無名である。
・欧州問題担当相には、マリエル・ドサルネズ(Marielle de Sarnez)氏に代わり、フランス国立行政学院の校長を務めているナタリー・ロワゾ(Nathalie Loiseau)氏を任命した。
・農相にはジャック・メザール(Jacques Mezard)氏に代わり、ステファヌ・トラベール(Stephane Travert)氏を任命した。前農相のメザール氏は、マクロン大統領の新政党「共和国前進」から領土結束相(Territorial Cohesion)に任命されていたリシャール・フェラン(Richard Ferrand)氏が今週、利益相反の疑惑で辞任したポストに横滑りする。
前法相・国防相・欧州問題担当相のバイル氏、グラール氏、ドサルネズ氏は、マクロン大統領の大統領当選を支えた中道政党「民主運動(MoDem)」の出身で、欧州議会の公的資金を不正に使用したとの疑惑を受けて、辞任を表明した。3人とも疑惑を否定している。バイル氏は「民主運動」の党首であり、「スキャンダルから政府を守るために辞任した。今後ともマクロン政権を支えていく。」と語った。
マクロン大統領の「共和国前進」は、日曜に行われた国民議会選挙で定員577のところ308議席を獲得し、「民主運動」は42議席を獲得した。マクロン大統領は、その公約の中で政治をクリーンにするとして当選しており、今回の内閣改造は望んでいた姿ではなかった。しかし改造後の内閣も、左右中道の主張や、男女を問わず、民間も含めてバランスの取れた内閣を作ると言う大統領の方針に則した構成となっている。内相、外相、財務省など他の主要閣僚は留任させて安定度を保った。
今回の辞任騒動により、各種調査会社の世論調査では大統領の支持率が下がっており、フランスのメディアも政権を襲った最初の危機として報じている。今後の政権運営にどう影響するか、ひき続き見ていく必要がある。
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