<クリスマス>
12月25日はクリスマスである。
筆者及びその周りでは、クリスマスについて少々誤解していたので、ここに一説を記してみたい。
まず、改めて関係書物を読んだところ、クリスマスは、一般的には「イエス・キリストの降誕を祝う祭」であるという。すなわち、新約聖書には、イエス・キリストの誕生日を特定する記述はないため、「イエス・キリストの誕生日」と考えられているわけではないという。...
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<クリスマス>
12月25日はクリスマスである。
筆者及びその周りでは、クリスマスについて少々誤解していたので、ここに一説を記してみたい。
まず、改めて関係書物を読んだところ、クリスマスは、一般的には「イエス・キリストの降誕を祝う祭」であるという。すなわち、新約聖書には、イエス・キリストの誕生日を特定する記述はないため、「イエス・キリストの誕生日」と考えられているわけではないという。
次に、キリスト教に先立つユダヤ教の暦、ローマ帝国の暦、及びこれらを引き継いだ教会暦では日没を一日の境目としているので、クリスマス・イヴと呼ばれる12月24日夕刻から朝までも、教会暦上はクリスマスと同じ日に数えられる。言い換えれば、12月24日の昼間はクリスマスとは呼べないということである。
更に、表記についての誤解である。
英語「Christmas」には、ややくだけた略記として「Xmas」または「X-mas」がある。これはギリシア語「Χριστος(Christos)」の頭文字である「Χ(カイ、キー)、またはそれと形が同じラテン文字「X(エックス)」をChristの省略形として用いたものであるため、英語のXとは違うものであるということである。
従って、他にアポストロフィを付けた「X’mas」について、日本で広まった和製英語であるので誤表記という話があるが、上記の語源から考えると、米国などで余り使用されていないだけの話で、「X’mas」の表記が誤りとするのは正しくないと言えよう。
また、クリスマスの過ごし方であるが、米国や英国では、クリスマスは基本的に自宅で家族と過ごすものであり、クリスマスのずいぶん前から一緒にリースやツリーを作ったり、家を飾り付けるなどの協同作業をすることで家族と一緒に過ごす喜びを確認し、クリスマスの当日には家庭料理を味わうのが一般的である。
彼らがあえて外出するのは、クリスマスミサに参加するため、教会に行く位であるが、英国流のクリスマスを取り入れたとされる日本においては、キリスト教徒が全人口の2%程度しかいないせいもあるのか、教会に足を運ぶ日本人は非常に少数派であって、ホテルやレストラン、あるいは遊園地などでクリスマスを楽しむ人が多くいる。
一方、筆者がかつて駐在した豪州では、南半球の夏に当るため、クリスマスパーティーは、屋外やプールなどで開催されることも多かったと記憶する。
なお、宗教的中立の観点から、米国では1990年代から、クリスマスを祝わない立場の人に対して「メリー・クリスマス」の代わりに、「ハッピー・ホリデーズ」の挨拶を用いる場合が主流となっている。
また、キリスト教が後世に伝来した、日本以外のアジア諸国は、古くから信仰される宗教への配慮から、クリスマスを法定休日とした場合、他の宗教の記念日も、クリスマスと同等に法定祝日とする場合が多い。
特に、筆者がかつて出張で何度も訪れたインドネシアでは、2016年の場合、2月8日チャイニーズ・ニューイヤー、3月9日ヒンズー・ニューイヤー、3月25日グッドフライデー(キリスト受難を偲ぶ日)、5月5日キリスト昇天祭、5月22日釈迦誕生日、12月25日クリスマスが休日となっており(他に、主流であるイスラム教にまつわる休日が6日)、学生・勤労者にとっては、とにかく祭日が多くて楽しいものである。
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