◆12月14日付け「ヴァニティ・フェア」「トランプグリルは全米で最悪のレストラン~ ここに次期大統領について知るべきすべてのヒントが隠されている」 ティナ・グエン記者
これは、観光客で賑わう五番街にある、オーナーであるトランプ氏により一躍有名になった店「トランプグリル」の外の小さなぐらつくテーブルで仲間と遅めのランチをとった時のレポートである。レストランの内装は、高めに設定された目標には届かず、ホームセンターで買ってきたような安っぽいフランス風絵画などが掛けられ、 店内を広く見せる大鏡もある。化粧室では、客はトイレットペーパーを探し回らねばならない。
オート・キュイジーヌ(コース料理)にはサンドイッチが付いており、大統領候補者としての魅力と同じく、この店はリッチさの中の格安感が魅力。メニューには統一感がなく、同じものを注文したのに、私には付いていない料理もあった。必要のない高級食材で飾られた定番ステーキハウスと言ったところ。例えば水餃子には、トリュフオイルを乗せた醤油が添えられているなど、食べ合わせがおかしく、逸脱していて普通じゃない。
ウェイターは、髪を整え愛想が良いせいか、客は私達は楽しい時間を過ごしているのだろう、と錯覚を覚えるのだろう。ウェイターは「トランプ氏はタコサラダやラザニア、焼きパスタを召し上がるんですよ」と勧める割には今日はパスタメニューが出来ないという。「トランプ氏のご子息らは何を召し上がるのですか」と質問するとウェイターは質問の意味がわからないらしく、マルコ・ルビオみたいに、能書き通りにしか話せないようであった。「握手したけど、手は普通のサイズでしたよ」と答えたのだ。それでも私達は「イバンカのサラダ」を注文、これはギリシャ風サラダに似て、ゴーダチーズとドレッシングがこれでもかとかかっているが、肝心のオリーブオイルは何故かかかっていなかった。このサラダは、「美容命」でスムージー好きなイバンカは好みそうにもない一品なのだが。(一方、金持ちの女性はベジタリアンだとのシェフの思い込みは感じられる。)
トランプ氏の息子、ドンJr.はミディアムレアのフィレミニヨン(ヒレ肉のステーキ)のマッシュポテトとブロッコリー添えが好みだとの説明を受けたので注文すると、焼け過ぎでパサパサしたステーキが出て来た。ソースがなかったのでソースを求めた。キッチンから料理を運ぶ間、お皿が傾いていたに違いなく料理は端に寄っており、ステーキの丸い形から想像するにこれは元々ヒレ肉ではないのかもしれない。多分、ドンJr.はあまり来店しないのだろう。
必ずといっていいほどコースにつくのがタコサラダ。トランプ氏がタコサラダをほおばりながら「ヒスパニックの見方だ」とツイートしてから人気となった。結局タコサラダが私達が一番食べやすい料理だった。
一つ残念なのが、お酒で。トランプ氏自身が飲酒しないためか、カクテルは大学寮で学生が実験調合したみたいな味だ。「タワー」は3種のカクテル、「お前はクビだ」はシュリンプカクテル用ソースみたいな大量のブラッドメアリー、「トランプワイン」には赤と白がある。
客は二度と来店しないというのが、この店が薄っぺらい証拠。トランプ氏当選前からも、五番街で近所の「パワーランチ」(ビジネスランチ)に適当な店を探すビジネスマンは近くの何処も空いていない場合にだけ、渋々この店に来ていたという位置づけだったようだ。チーズバーガーがアメリカの代表食なら、トランプの「偉大なアメリカを取り戻す」宣言は、実現しそうにないものに思えてくる。(恐らく、トランプの偉大なアメリカはグルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)で味付けされたスポンジを2つのスポンジで挟んだみたいな味なのだろう)
トランプ氏のツイッターはこちらを御参照下さい。
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