8月17日付
Globali「中国、主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)に向け準備万端」の中で、“中国としては、何としてもこの国際会議を成功させ、国際社会に大国としての実力・信頼性をアピールする必要があり、日米等との緊張を可能な限り高めないよう注意を払っているように見受けられる”と報じた。そして、同日付【
時流;中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)懐柔作戦】で触れているとおり、ASEAN高官との会議において中国は、これまで渋ってきた態度を一変して、来年半ばまでに“行動規範(注後記)”策定の枠組み合意を目指すことを確認し、G20サミットで南シナ海問題に焦点が当たらないよう画策している。
8月17日付米
『ロイター通信米国版』:「中国とASEAN、来年中に“行動規範”枠組み合意を目指すことで一致」
「●中国国営メディアは8月17日、中国北東部で開かれていた中国とASEAN代表高官会議において、南シナ海での各国の活動を法的に規制する“行動規範”の枠組みについて、来年半ばまでに合意を目指すことで一致をみたと報道。
●中国外交部の劉振民(リゥ・チェンミン)副部長は、海上での緊急事態に対する外交当局のホットライン導入でも一致し、来月ラオスで開催される中国・ASEAN首脳会議で最終確認されると発表。...
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8月17日付米
『ロイター通信米国版』:「中国とASEAN、来年中に“行動規範”枠組み合意を目指すことで一致」
「●中国国営メディアは8月17日、中国北東部で開かれていた中国とASEAN代表高官会議において、南シナ海での各国の活動を法的に規制する“行動規範”の枠組みについて、来年半ばまでに合意を目指すことで一致をみたと報道。
●中国外交部の劉振民(リゥ・チェンミン)副部長は、海上での緊急事態に対する外交当局のホットライン導入でも一致し、来月ラオスで開催される中国・ASEAN首脳会議で最終確認されると発表。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国とASEAN、領有権問題に関わる緊急事態に備え、二つの取決めに合意」
「●中国とASEAN高官会議は、中国北東部の内蒙古自治区で開催。
●合意された二つの取決め(“行動規範”枠組み合意期限及び外交当局ホットラインの導入)の詳細は、9月開催の中国・ASEANサミットで承認された後に公開予定。」
8月18日付フィリピン
『ザ・デイリィ・トリビューン』紙:「中国とASEAN、PCA裁定を無視して“行動規範”策定に照準」
「●中国とASEAN高官会議において、“行動規範”枠組み合意を目指すことで一致したことから、ASEANとしては、フィリピンがせっかく勝訴した常設仲裁裁判所(PCA)裁定に準拠して領有権問題を解決することをあきらめた模様。
●フィリピンのペルフェクト・ヤサイ外相は、フィリピンも中国も武力衝突は望んでおらず、平和裏に外交交渉を通じての問題解決に向けて努力すると発言。
●また同外相は、中沙(スカボロー)礁周辺の公海におけるフィリピン漁船による漁は中国公船によって妨害されることはないと確信するし、一方、中国やベトナム漁船による漁をフィリピン側が阻止することもないともコメント。」
8月17日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「領有権問題:中国とASEANは交渉による解決を再確認」
「●今回の中国・ASEAN高官会議は、13回目(2011年以降毎年2度開催され、今年は異例の3度目の開催)だったが、長年の懸案事項について双方の意見の一致をみるという大きな進展。
●同会議後の共同記者会見で中国外交部の劉副部長は、南シナ海における領有権問題については、地域外の余計な干渉等があって、問題がより複雑化したが、中国・ASEAN双方は、自分たちの問題は自分たちで解決するとの意思を再確認するに至ったと発言。」
ASEAN各国には、中国のスタンドプレーに惑わされず、“行動規範”の枠組みのみならず、中国の一方的な海洋活動に歯止めがかけられるよう、実効性のある合意形成を勝ち取って欲しいと願う。
(注)行動規範:中国やベトナム、フィリピン、マレーシアなどが領有権を主張する南シナ海で、武力行使や紛争が起きた場合のルールを定める法的な枠組み。ASEANと中国は2002年に「行動宣言」に署名。しかし、実効性に乏しいため、法的拘束力を持つ規範の策定を求める意見がASEAN側から出され、2010年以降協議を続けていたが、中国側が消極的でこれまで進展がなかったもの。
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