12月11日付「北朝鮮は本当に水爆保有?」の中で、“南北朝鮮の高官が、今年8月に両国高官レベルによる対話を再開することに合意して以来、初めて関係改善に向けた対話を行った”と報じた。その成果であるが、合意文を作らず、次の日程も決めずに終了してしまった。一方、中国との関係改善の特使として送られた、金正恩(キム・ジョンウン)第一書記の肝いりとされる楽団が、予定されていた北京公演を突然すべてキャンセルして帰国してしまった。相変わらずの北朝鮮の不可解な行動について、米・中・韓国メディアが伝えている。
12月12日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』記事引用)は、「南北朝鮮対話、合意なく終了」との見出しで、「今年8月の合意以来、12月11日に初めて開催された南北朝鮮高官レベルの対話は、結局何の合意もみず、また、次の日程も決めることなく終了した。韓国の交渉団代表によれば、北朝鮮側は、2008年以降中断している金剛山(クムガンサン)リゾートへの韓国ツアーの再開を強く求めてきたが、韓国側が、中断の引き金となった韓国人観光客の射殺事件を理由に、観光客の安全を保障することを条件にしたところ、一方的に会談が打ち切られたという。従って、韓国側が求めていた、朝鮮戦争を契機とした南北離散家族の生死確認や手紙の遣り取りの提案についても、何ら進展はなかった。」と報じた。
同日付中国
『上海日報』(
『AP通信』記事引用)は、「二国間高官交渉、関係改善の兆なく終了」との見出しで、「今年8月の両国間長時間交渉の結果、高官レベルによる対話と離散家族の面会行事について合意していた。それに基づき12月11日に高官対話が持たれ、また、後者についても今年10月に一度、離散家族の面会が実施されてはいた。」と伝えた。
また、同日付韓国
『KBSニュース』は、「両国次官級対話、合意なく打ち切り」との見出しで、「韓国の交渉団代表によれば、韓国側が要求する、離散家族の面会事業と、金剛山リゾートへの韓国ツアーの再開を(交換条件のように)結び付けるのは妥当ではない、と明言したが、会談は一方的に打ち切られたという。また、韓国側から次の日程を持ちかけたが、この話にも乗ってこなかったという。」と報じた。
一方、同日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「金第一書記肝いりの楽団、突然北京公演をキャンセル」との見出しで、「金第一書記がお気に入りの、全員女性から成る北朝鮮の楽団が12月12日、突然北京公演をキャンセルして帰国の途に就いた。
派遣されていたのは、牡丹峰(モランボン)楽団(注後記)と功勲国家合唱団の二グループで、中国との関係改善のワンステップとみられていただけに、突然のキャンセルで、中朝間がまた冷え込む恐れがある。なお、北朝鮮研究専門家によると、(妻帯者の)金第一書記とメンバーの女性との関係を韓国メディアがゴシップとして流し、それを中国メディアも追随したことから、金氏が怒りに任せて呼び戻したものと推察されるという。」と伝えた。
同日付中国
『アジア・タイムズ』香港オンラインニュース(
『ロイター通信』記事引用)は、「北朝鮮のポップスバンド、北京公演をキャンセルして帰国」との見出しで、「モランボン楽団は、金第一書記がペットのように可愛がっているグループで、彼女らのショートヘアは平壌(ピョンヤン)で流行となっている、」と報じた。
なお、北京の消息筋の話では、金第一書記の「水爆発言」を受けて、中国外交部(外務省に相当)が緊張緩和に資する行為を求め、暗に金氏を批判する表明をしたこと、また、中国当局が楽団公演を観覧する当局者を、共産党政治局員(指導部幹部)から副部長級(次官級)に大幅に格下げしたことから、北朝鮮側が「最高尊厳(金第一書記)への冒涜」とみなし、抗議の意味で公演を取り消したものと推測されるという。
(注)モランボン楽団:歌手10人、奏者12人全員が女性の楽団。2012年7月、韓国人歌手サイの「江南スタイル」発売と同時期に(謀ったように)デビュー。メンバーは皆、金第一書記が選抜。
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