8月30日付
『ロイター通信』は、米による対ロ制裁強化によって、多額の中国産貿易品の輸入代金決済が滞留していると詳報した。
欧米諸国による対ロ制裁に遭って、ロシア側は自国産業にとって重要な精密機械や消費財等を、中国や対ロ制裁に加わっていない国からの輸入に頼っている。
特に、中国との貿易高は、ロシア産原油・天然ガスの新たな追加向け先となっていることもあって、中国の税関データによると、2023年度の総輸出入額は2,400億ドル(約348兆円)と過去最高となっている。...
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8月30日付
『ロイター通信』は、米による対ロ制裁強化によって、多額の中国産貿易品の輸入代金決済が滞留していると詳報した。
欧米諸国による対ロ制裁に遭って、ロシア側は自国産業にとって重要な精密機械や消費財等を、中国や対ロ制裁に加わっていない国からの輸入に頼っている。
特に、中国との貿易高は、ロシア産原油・天然ガスの新たな追加向け先となっていることもあって、中国の税関データによると、2023年度の総輸出入額は2,400億ドル(約348兆円)と過去最高となっている。
しかし、ロシア関係者が匿名条件に『ロイター通信』に語ったところによれば、上記総額のうち4割余りを占める中国産品の対ロ輸出に関し、今年6月に米財務省が中国や他国の銀行に対して、対ロ貿易決済に関わった場合第二次制裁を科すと宣言したことから、輸入元のロシア企業による代金決済が数十億人民元(数百億円)滞留しているという。
昨年12月、米大統領が対ロ制裁強化策を打ち出して以降、中国産品の輸入に頼る多くのロシア企業が、輸入決済をスムーズに進められるよう、香港市場での金の取引をかませたり、第三国の決済代行業者に6%もの手数料を払って代金決済を行ってきていたが、上記のとおり、更なる仕打ちで多額の貿易代金決済が滞ってしまっているという。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官(56歳、2012年就任)は『ロイター通信』のインタビューに答えて、“かかる多額の貿易取引が滞るのは遺憾であるが、両国の強固なパートナーシップにより、相互の建設的議論によって解決は可能だ”と表明した。
一方、ロシアの輸出業者は、中国が輸入する原油・天然ガス・穀物等の代金回収に問題は生じていないとコメントしている。
なお、ロシア科学アカデミー(1724年前身設立)中国研究所のキリル・ババエフ所長は今月公開した論文の中で、“ロシアの産業部門にとって、中国が主要な供給国となったことでリスクが顕在化している”とした上で、“中国以外に重要な産業機器の供給国が見当たらない以上、現下の代金決済の問題が国家レベルで解決されない限り、中国からの多額の投資も期待できないだろう”と警鐘を鳴らしている。
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