日米はもとより豪州も、中国による太平洋島嶼国への影響力拡大に懸念を抱いている。これは間接的に台湾問題も関わっていて、今週開催されていた太平洋島嶼国フォーラム(PIF、注後記)首脳会議において、PIFとの拡大会議から台湾を排斥すべしとする親中派メンバーの提案が一蹴された。更に、中国警察部隊の派遣に真っ向から対抗して、豪州中心の域内共同警察部隊創設計画も採択されている。
8月30日付
『ABCニュース』は、PIF首脳会議において、親中派メンバーが推したPIFとの国際会議から台湾を排除すべしとの提案が拒否されたと報じている。
第53回PIF首脳会議が、8月26日から1週間、トンガの首都ヌクアロファで開催された。
この会議において、2つの大きな事態が決定された。
ひとつは、8月28日に採択された、豪州主導による「太平洋警察イニシャティブ(PPI、域内共同警察強力部隊の創設計画)」である。...
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8月30日付
『ABCニュース』は、PIF首脳会議において、親中派メンバーが推したPIFとの国際会議から台湾を排除すべしとの提案が拒否されたと報じている。
第53回PIF首脳会議が、8月26日から1週間、トンガの首都ヌクアロファで開催された。
この会議において、2つの大きな事態が決定された。
ひとつは、8月28日に採択された、豪州主導による「太平洋警察イニシャティブ(PPI、域内共同警察強力部隊の創設計画)」である。
これは、豪州が拠出する4億豪州ドル(2億7,100万ドル、約392億円)の支援金を基に、四つの警察部隊訓練センター設立、域内の事件・災害に200人規模の多国籍警察部隊を派遣する態勢構築等を目的とするものである。
域内での影響力を高めようとしている中国は、経済支援を梃に、ソロモン諸島、バヌアツ、キリバスと警察部隊派遣の協定を結んでいることから、今回のPIF決定はこれに対抗するものとみられる。
もうひとつの事態は、PIFと域外国との拡大会議から台湾を外すべしとする親中派のソロモン諸島による提案を拒否したことである。
これは、PIFサミット最終日の8月30日に採択された共同コミュニケの中で言及されたものである。
PIFメンバー国のうち、パラオ・マーシャル諸島・ツバルは依然台湾と国交を結んでいる。
かかる事態を受けて、PIFサミットにオブザーバー参加していた駐太平洋諸国担当特使の銭波氏(チァン・ボー)は、当該共同コミュニケ内で言及された台湾に関わる記述について、“何かの間違いだ”と当惑した声を上げた。
同特使はサミット後の記者会見で、“中国はPIFの16ヵ国・2地域のうち、15ヵ国と外交関係を締結しているだけでなく、一つの中国原則が共通認識となっているからだ”と強調している。
(注)PIF:旧宗主国主導の南太平洋委員会(1947年設立された地域協力機構。現在の名称は太平洋共同体)に対して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年8月に南太平洋フォーラム として創設。2000年10月にPIFに改称。加盟国・地域は、豪州、NZ、パプアニューギニア、フィジー、サモア、ソロモン諸島、バヌアツ、トンガ、ナウル、ツバル、ミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル諸島、キリバス、クック諸島、ニウエ、仏領ポリネシア、ニューカレドニアの16ヵ国・2地域。
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