ラーメンについては、フランスで1985年に上演された、伊丹十三監督の日本映画、‘たんぽぽ’を通して広く紹介された。この映画は東京の小さなラーメン屋を舞台にしていて、未亡人の女主人が東京で他の店に負けない、美味しいラーメンを創ろうと奮闘する姿を描いている。ラーメンスープを40年間探求している年配のラーメン愛好家が、女主人に美味しいラーメンの作り方と味わい方を伝授するコメディになっている。この映画では、日本人がラーメンに対して抱くこだわりを茶目っ気たっぷりで紹介している。この特別な料理は日本人の間で圧倒的な人気があり、東京から南に車で1時間の距離にある新横浜にはテーマパーク、‘ラーメン博物館’が創設されている。
ラーメン博物館内に入ると、まるで1958年の東京の街角にタイムスリップしたような感覚に襲われる。ラーメン博物館内は、当時の街角の雰囲気を出すために、1958年頃の映画の街頭ポスターが張られ、その頃流行ったおもちゃや自動車などを展示し、古い世代の人たちにも気を引くための工夫も盛り込まれている。ここでは、ラーメンの歴史を紹介するため、明治初めの開国時のラーメン誕生当時のラーメンが展示されている。すなわち、中国製の小麦麺を日本特有のスープの中に浸し、トッピングとして鳴門巻きなどの魚の練り物やネギが添えられている。ラーメン博物館では、日本各地のスープや麵やトッピングで各々特色あるラーメン店が軒を並べ、ラーメン好きの客たちを待ち構えている。
フランスでのラーメン店は、漫画の中でしばしば登場するので若い人たちの間で広まり、国内の色々な都市でラーメン店が開業している。例えば、パリ18区では日本料理を学んだアントナン・ジラル氏が、フランスの食材100%での独自のラーメン・レシピをあみ出して地域の客に喜ばれている。
一方、セドリック・アラ二氏は日本の‘ラ塾’で調理法を学んだ後、ネコラーメン・チェーンをパリで創設している。このチェーンは、蓮根を油で揚げたチップス、クロカン(アーモンドクッキー)や豚肉の蒸し煮をラーメンに添えたことで人気を博している。なお、レンヌ市とナント市に出店しているアントニー・ニューアン氏のラーメン屋では、店をくつろげる雰囲気にし、価格を抑えることで客層を増やしているという。
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