空手や武道の有段者が喧嘩等で相手に怪我を負わせたからと言って、通常人より重罰が科せられることはない。しかし、大阪高裁はこの程、過剰防衛や行き過ぎた身体的暴力についてはその責を負うとして、お化け屋敷の幽霊役に怪我をさせて損賠賠償債務を負うことになった空手有段者が提起していた、お化け屋敷の運営側も有責だとして当該損害賠償金の一部を負担すべきだとする請求を却下している。
8月20日付
『ジ・インディペンデント』紙は、日本の英字紙掲載の訴訟事件の顛末について詳報している。
『SoraNews24』(2010年設立の英字ニュースウェブサイト)によると、大阪高裁は先月、空手有段者Aから提起されていた、お化け屋敷運営側も原告Aが追うべき損害賠償金債務の一部を負担すべきとの請求を却下したという。
事の顛末は以下どおり;
原告Aは2011年、京都にある東映京都スタジオパーク(TKSP、和名:東映太秦映画村、1975年開園)運営のお化け屋敷を訪れた際、幽霊役の従業員がいきなり面前に現われて驚かされたとき、反射的に当該従業員に蹴りを入れて顎を砕いてしまった。...
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8月20日付
『ジ・インディペンデント』紙は、日本の英字紙掲載の訴訟事件の顛末について詳報している。
『SoraNews24』(2010年設立の英字ニュースウェブサイト)によると、大阪高裁は先月、空手有段者Aから提起されていた、お化け屋敷運営側も原告Aが追うべき損害賠償金債務の一部を負担すべきとの請求を却下したという。
事の顛末は以下どおり;
原告Aは2011年、京都にある東映京都スタジオパーク(TKSP、和名:東映太秦映画村、1975年開園)運営のお化け屋敷を訪れた際、幽霊役の従業員がいきなり面前に現われて驚かされたとき、反射的に当該従業員に蹴りを入れて顎を砕いてしまった。
被害従業員は原告Aに対して損害賠償請求を提起したところ、2015年にAが1000万円(5万2534英ポンド)の賠償金を支払うことで和解が成立。
ところが、原告Aは、TKSPを相手取って、当該賠償金債務の一部負担を請求する裁判を起こした。
請求原因は、①TKSPは幽霊役の従業員に対して、お化け屋敷訪問客からの万が一の攻撃に備えて訓練をしておくべきなのにそれを怠っていたこと、②そもそもTKSPは酩酊しているAを入場させるべきではなかったのにそれを許したことから、一部有責であるとした。
しかし、大阪高裁は先月、原告Aの請求を棄却する判決を下した。
判決骨子は、①については、お化け屋敷は、幽霊役が客を驚かせることは事実だが、映画やテレビドラマと違って、幽霊役が客を襲うことは決してなく、客は安全に楽しむことができると理解された原則に基づいて成り立っているので、従業員を訓練する責務はない。
②については、泥酔ならいざ知らず、蹴りを入れられる程の酩酊状態であったなら、TKSPが入場を断る理由とはならない。
更に付け加えれば、上記①で言及したとおり、幽霊役が驚かそうとしたとしても、客を襲うことはないので、Aの攻撃は明らかに過剰防衛であり、純粋な恐怖からとられた反射的な行動の範囲を越えていると判断されるとした上で、(従業員に対する身体的暴力について)正当な動機や論理的な根拠を見出すことは困難であるとしている。
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