8月5日付
『ロイター通信』:「台湾歓喜:五輪バドミントンで政治的対立の中国に勝利」:
台湾の人々は4日、中国との地政学的分断の深まりが露呈する中、男子ダブルスバドミントンで台湾選手が中国のライバルに勝利した末の金メダル獲得を賞賛した。
台湾のワン・チリン(王斉麟)とリー・ヤン(李洋)は東京五輪からの二連覇となり、中国のリャン・ワイケンとワン・チャンにストレート勝ち。パリ五輪で対中国の最初のメダル獲得となった。...
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8月5日付
『ロイター通信』:「台湾歓喜:五輪バドミントンで政治的対立の中国に勝利」:
台湾の人々は4日、中国との地政学的分断の深まりが露呈する中、男子ダブルスバドミントンで台湾選手が中国のライバルに勝利した末の金メダル獲得を賞賛した。
台湾のワン・チリン(王斉麟)とリー・ヤン(李洋)は東京五輪からの二連覇となり、中国のリャン・ワイケンとワン・チャンにストレート勝ち。パリ五輪で対中国の最初のメダル獲得となった。
王選手の出身地である台北や南部高尾、リー選手の出身地で中国に近接する金門島等各地で、パブリックビューイングが開催され多くのファン集まった。
前回の五輪同様、台湾の国際的地位は自治権を主張する中国との対立が注目されており、台湾は中国との対立を避け、「チャイニーズ・タイペイ」として参加。
台北駅でビューイングをみていた20代の女性は、「政治情勢から、中国に勝ちたいのだ。台湾の力を証明し国際的地位を確立するチャンスだ。五輪で適切な名前も使えず、我々はあらゆる場面で中国の抑圧を受けている」と述べている。
パリ入りした台湾のサポーターは、台湾旗のフェイスペイントを落とすよう強制されたり、政治的メッセージに関する五輪規則のため、バナーも没収されていた。国際オリンピック委員会(IOC)の規定では政治的、または非参加国を支持するメッセージが書かれたバナーや看板を禁止している。
5月に就任した台湾の頼清徳総統は、王選手の父に祝福の電話をし、前回に続き今回の五輪でも中国選手に対して二連覇した王と李選手に感謝を述べたという。中国「分離派」で中国との平和をかき消すとされる同氏は、「彼らは台湾の誇りだ」と述べている。
8月3日付米『CNN』:「台湾バナーを持つ観客にアリーナ退場処分」:
パリ五輪2日のバドミントンの試合で、「行け台湾」と書かれた緑のバナーが安全規定により退場となったことで、台湾当局からは怒りの声が上がり、「チャイニーズ・タイペイ」として参加せねばならなかった複雑な規則に再度注目が集まっている。
台湾の公式名称は「中華民国(ROC)」であるが、中国は民主国で自治政府のあるこの島を自国の領土とみなし、スポーツ界を含め、台湾を分離国だと認めることは中国への反発であると主張している。
観客は対戦が行われている間に叫びながら退場させられたという。バナーの緑色は、台湾の独立、自治提唱派や、与党民進党のシンボルカラーでもある。
外務省は声明で、「”行け台湾”スローガンを取り上げた悪意ある個人を強く非難する。この暴力行為は教養を欠くばかりか、著しく五輪の精神に反し、法と言論の自由を侵害するもの」としている。更に、台湾代表に司法当局への連絡を仰ぎ、仏当局の協力で再発防止に務めるとしている。
一方、IOCのマーク・アダムス報道官は、記者会見でこの事件について、「五輪に参加する国や地域の旗のみ使用が許される」とコメントしている。
台湾は1970年台まで「ROC」として参加。1971年、国連が中国のみを正式政府だと認めてから事情が変わり、主催国がROCとしての参加を認めなかったため、1976年と1980年台に台湾は五輪をボイコットした。
1979年のIOCと中国との合意後、1984年には「チャイニーズ・タイペイ」の名で参加したが、国旗と国歌は使用できなかった。2018年台湾の国民投票で、「台湾」への参加名称変更が問われたが反対評決となった。
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