ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)は6月1日、米空軍士官学校の卒業式に出席した際、檀上にあった砂袋に躓いて転んでしまった。怪我をした訳ではないが、そのニュース映像が流されるや否や、野党・共和党の大統領選予備選立候補者らはもとより、政治評論家まで同大統領の再出馬に暗雲と大騒ぎしている。
6月1日付
『ニューヨーク・ポスト』紙、6月2日付
『AP通信』、
『ロイター通信』等は、ジョー・バイデン大統領がある公式行事に出席した際、壇上で躓いてしまったことを受けて、共和党の大統領選予備選立候補者らが一斉に、同大統領の再出馬に疑義が生じたと騒ぎ立てたと報じている。
ジョー・バイデン大統領は6月1日、コロラド州コロラドスプリングス在の米空軍士官学校(1954年設立)の卒業式に出席した際、壇上に据えられたテレプロンプター(講演者補助用装置)を押さえつけていた砂袋に躓いてしまった。
この事態について、ホワイトハウスのベン・ラボルト広報部長(41歳、2023年就任)は早速、“壇上の砂袋にちょっと躓いただけで、大統領は何ともない”とツイートして何ら問題はなかったと強調している。
高齢大統領ではあるものの、下を見ないで歩いて躓いたことからの事態で誰にでも起こることだが、このニュース映像を見て、共和党の大統領選予備選立候補者らが大げさに取り上げている。
まず、ドナルド・トランプ前大統領(間もなく77歳、2017~2021年在任)は遊説先のアイオワ州で、“転ぶとはお気の毒に”とした上で、“空軍士官学校で転ぶ(Fall=落下という表現使用して)とは全く場所が悪い”と揶揄している。
ただ、トランプ自身も2020年6月、ニューヨーク州ウェストポイント在の米陸軍士官学校(1802年設立)の卒業式に出席した際、緩やかな坂をこわごわと歩き下りたことから、高齢による健康状態に疑念を持たれることがあった。
また、フロリダ州のロン・デサンティス知事(44歳、2019年就任)はニューハンプシャー州において、“怪我をしたなら一日も早く快復することを祈る”としながらも、“同時に、バイデン政権によって傷ついた米国を早期に快復させることを願う”と皮肉を込めてコメントしている。
更に、政治評論家らも、同大統領が昨年6月、大統領専用機搭乗の際にタラップで転びかけたり、また自宅近くで自転車走行中に転んでしまったことが立て続けに起こっていることや、僅か2週間ほど前にも、主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)で訪日した際、厳島神社の階段を降りるときに転びそうになっていたこと等を例に挙げて、健康への懸念を表明している。
すなわち、いずれも幸い怪我はなかったが、来年の大統領選投票後には82歳となり、もし再選されると第2期終了時には86歳にもなるとし、いつ何時健康被害等が起こらないとも限らないとして、民主党としても来年の大統領選予備選候補者選びに慎重になる必要があろうと説いている。
なお、最近の世論調査でも、(バイデンにしろトランプにしろ)75歳以上の大統領が就任することを訝かしむ声が増えている。
また、米疾病予防管理センター(1992年設立)が集計したデータによると、65歳以上の
高齢者が転んだことで死に繋がった例が死因の上位になっている。
一方、同大統領付きのケビン・オコーナー医師(50代、2021年就任)は今年2月、同大統領の健康診断を行った後、“大統領は80歳と思えない程若々しく、引き続き職務を全うするのに何ら問題となることはない”との診断結果を公表している。
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