ウクライナはこれまで欧米の同盟国にロシアのミサイルを長距離から迎撃できるミサイルの供与を要求してきたが、ようやく英国がその要求に答えることとなった。5月11日の英国議会下院でベン・ウォーレス国防大臣は、先の米国CNNでの報道を肯定する形で、「ストームシャドウ・システムの供与により、ウクライナとしてはロシアの度重なる野蛮な攻撃からの防衛力を高めることができる。」と答弁した。
ストームシャドウ・システムは、1990年代にフランスのマトラ社と英国航空宇宙局によって共同開発されたミサイルで、フランス軍では‘スカルプ’と呼ばれていて、地誘導、対空ミサイルで、従来よりも遠方から目標とするミサイルを迎撃することができるという。...
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ウクライナはこれまで欧米の同盟国にロシアのミサイルを長距離から迎撃できるミサイルの供与を要求してきたが、ようやく英国がその要求に答えることとなった。5月11日の英国議会下院でベン・ウォーレス国防大臣は、先の米国CNNでの報道を肯定する形で、「ストームシャドウ・システムの供与により、ウクライナとしてはロシアの度重なる野蛮な攻撃からの防衛力を高めることができる。」と答弁した。
ストームシャドウ・システムは、1990年代にフランスのマトラ社と英国航空宇宙局によって共同開発されたミサイルで、フランス軍では‘スカルプ’と呼ばれていて、地誘導、対空ミサイルで、従来よりも遠方から目標とするミサイルを迎撃することができるという。
このミサイルは、450㎏までの重量の爆薬を搭載することができ、バンカー(航空機用シェルター)のような堅固な設備も破壊できるという。英国の武器製造企業MBDA社では、対空防御システムシステムでレーダー探知できないミサイルとして提供されているという。これまでフランス軍や英国軍の武器として装備され、イラク、リビアやシリアの戦闘で弾薬庫や司令本部やロジステイック基地の破壊操作のためにすでに実際に使用されている。
これまで、欧米諸国はウクライナにロシア本土を攻撃するのに使用されないかとの懸念から、長距離の射程を持つ武器の供給を渋っていた。例えば、米国はウクライナにATACMSミサイルの供給を拒否してきた。なぜならハイマース・ロケット発射筒からATACMSミサイルを使うと、射程が300kmに達すると推定されるからである。
なお、ウォーレス国防大臣は、ウクライナが自分の領土内でのみストームシャドウ・システムを使用するとの確約を得たのでストームシャドウの供与に踏み切ったと説明した。
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